去年の今日はこれを書いていたのか・・・・・

・・・・・・このドラマは「こっち側」と「向こう側」の垣根がないような気がする。

考えた。「最高」は誰にも決められるものではないように、「最低」も誰にも決められないのでは?

富士山の風光明媚とボッタクリ30万円のスナックには境界はない。・・・陸続きだ、生憎。

 

 

 

「あなたでなければダメなんです」依頼人・和子(倍賞美津子)は言った。

 

・・・・・・島田(江口洋介)職業・探偵。ボロビルに事務所を構えるが、この職業に向いているかは疑問の男?酒に溺れる?元マル暴担当刑事。・・・探偵にしかなれなかった?・・・そんな風に思えるかが、このジャンルの成功の入り口、だ。その意味でまずは最初の語り口はなかなか良いな、と思った。トリュフォーのドワネル物の伝統が継承されているのがいい。・・・彼には酒に耽溺する理由があった。・・・現職刑事の頃・・・街中で薬物依存と思しき顔見知りと遭遇・・・追跡・・・縺れ合い・・・そして銃を発砲、そのシャツの男・・・悲鳴・・・弾丸が誰かに当たった・・・それは、父を追って来た島田の息子・・・悔やんでも悔やみきれない・・・なじる妻・・・もうやめだ・・・酒また酒・・・そこしか逃げ場はない・・・裏町のビル・・・探偵事務所・・・助手・亜花里(上白石萌歌)が優秀なのが救いだ・・・トラブルまたトラブル・・・望むとことだ・・・上出来だ・・・こじれた夫婦の依頼の入り繰り・・・何言ってんだ?・・・こじれてこそ男と女、だろ・・・彼はそう思ったのでは・・・悪意を善意に塗しながら酒で流し込む・・・居直りなら誰にも負けない

 

依頼人・和子は語った。余命が限られた女性・幹江(梶芽衣子)の「望み」を叶えて欲しい、と。

報酬は高額・・・やるしかない。

 

幹江の「望み」・・・35年前に捨てた息子・・・富士山のみえる富士宮・・・ひとめ会いたい・・・謝りたいかくして富士宮への旅が始まる。・・・付き添いの介護士春紀(志尊淳)は意識高い男・・・探偵稼業とは折り合いはよくない・・・「最高」と「最低」が絡む。縺れる・・・やがて富士宮・・・みごとな富士山・・・でも息子に会わなくては?・・・身元判明・・・でも息子は・・・黒社会だった・・・出世はしていたが・・・でも会いたい。幹江は切に願う・・・探偵稼業。やるしかない。やるか、出会いのセッティング。

 

「最高」の意識であろうが、「最低」のそれであろうが、血の繋がりとしがらみは均等に圧し掛かる。身につまされる。思い当たることもある。何故か?・・・人間だから、だ・・・感情は揺れるに決まっている・・・皆、当事者だ・・・部外者はいない。

 

幹江を乗せた車椅子が商店街を走る。呼吸器を外す、彼女・・・息子に会える

健常者と病人の区別を取っ払った。彼女。

 

このドラマは「こっち側」と「向こう側」の垣根がないような気がする。

考えた。「最高」は誰にも決められるものではないように、「最低」も誰にも決められないのでは?

富士山の風光明媚とボッタクリ30万円のスナックには境界はない。・・・陸続きだ、生憎。

 

すべて、自分で探して自分で決めること?

 

湿った空気にむせながら、泥濘をよけそこないながら、今日も街を歩く

・・・それが、わたしたちでは。