日本は衆議院選挙のニュースばかりだが、世界は激動していて目が離せない。

 

1 カタロニア

先ほどスペイン政府が、カタロニア政府のリーダー(州知事ら?)の罷免を決定した。この決定は議会の承認をまって確定するが、与党も主要野党も賛成する見込みとのこと。スペイン政府の発表では、カタロニア州の自治権を奪うのではなく、スペイン憲法に反して州独立の住民投票を実施し、違憲状態に導いたリーダーを排除するとのことだが、独立派住民の大きな反発が予想される。

http://www.bbc.com/news/world-europe-41704759

 

私が出会った旅人の中で最も多くの国と地域を旅した男、スペイン人のJはバルセロナ出身だ。私がバルセロナに立ち寄ったとき彼の家に泊めてもらった。彼曰く、「バルサ(スペインのサッカーリーグのバルセロナのチーム)が勝つと独立派が勢いづくから困る」。バルセロナ育ちでも、州の独立や国家の分裂を望まない人はいるのだ。

 

世界を旅していると、独立国・国の概念がいかにあいまいなものかを思い知らされる。どの国・地域も長い歴史を通じて、一つの国家・民族・国境線で確定していたわけではない。地域・民族・文化、多かれ少なかれ多様な要素を含んで現在の国家になっている。

 

住民の意思は尊重されるべきだが、歴史・文化が違うから独立、では、世界は対立・混乱するばかりだ。国家財政に占めるカタルーニャの貢献に見合う支援が受けられていないのも事実かもしれないが、完全に平等な配分などできるわけがない。北イタリアをはじめ多くの国の都市部は経済的に地方を支えているのではなかろうか。

 

どうなるのか大変気がかりだ。

 

2 クルディスタン

イラク軍(シーア派中心)が、クルド軍(ペシュメルガ)が支配下に置いていた、キルクーク地区(イラク最大の油田地帯のはず)を奪取したようだ。先日のクルド住民投票を受けての独立宣言(自称)を受けて、イラク・トルコ・イラン・シリアの中央政府をはじめ国際社会はクルディスタンに強い態度で反対している(ふり?)。

http://www.aljazeera.com/news/2017/10/iraq-forces-full-control-kirkuk-province-171021044707969.html

もちろん、本当の政策はわからないが、たとえばアメリカは自国のクルド民族の独立を恐れる同盟国トルコの手前、イラクからのクルディスタン独立を(表立って)支援できない。

 

もともとキルクークはクルディスタン州の外だし、トルコマン人も多いので、バルザニ(クルディスタンの「大統領」)の野心は行き過ぎがあったのかもしれない。私がアルビル(イラククルディスタンの「首都」)を訪ねたとき、ジュースをおごってくれたトルコマン人に対し、「ここにはクルド人しかいない」と言い切ったクルド政府のガイドに対する、トルコマン人の怒りの表情が忘れられない。

 

このさきイラクのクルディスタンがどうなるのか、さらにトルコ・イラン・シリアのクルド人や共存している民族がどうなるのか、大変気がかりだ。

 

3 南イエメン

イエメンは、冷戦下では、北イエメン(西側:資本主義)と南イエメン(東側: 共産圏)に分かれていた。首都サナアを含む旧北イエメンは現在Houti(シーア派の一派)勢力の支配下にあり、

旧南イエメン地域は、サウジ・UAEの支援を受けたスンニ派の支配下にあるようだが、サウジの意向に反してUAEが旧南イエメンの再独立を支援するかのような動きに出ているというのがアルジャジーラの報道。

http://www.aljazeera.com/news/2017/10/verge-splitting-yemen-171020063508888.html

 

しかし、アルジャジーラは、サウジ・UAEから現在国交を断絶されているカタールの報道機関

であり、他の報道機関もこのニュースをあまり取り上げていないので、どこまで信用できるのか疑問。UAEとサウジの仲違いを強調する政治的な背景すらあるように勘ぐってしまう。

 

いずれにしても、イエメンの内部分裂が長期化していることは事実であり、この先がとても気がかりだ。