予想されてはいたことだが、ナウルが台湾と断交したようだ。[2024.1.15]
https://www.bbc.com/news/world-asia-67978185


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*台湾は独立国か
以前国の定義の話を書いたが、常に問題になるのが台湾が国なのかという点。

国家の基準を国連加盟の有無や、外交関係を持つ国の数に求めると、台湾は独立国と言い難いともいえる。

*中国の攻勢と台湾との断交
近時、中国が「一つの中国政策」のもと、台湾友好国に圧力をかけ続けている。台湾は中国の一部だから台湾と外交関係を破棄して中国を承認しろ、と。

そして、中国と外交関係を結ぶとなると、台湾との断交は避けられず、また一つ台湾と外交関係を有する国が減ることになる。

そして、次期総統選で、蔡英文路線を継承する頼清徳が勝利(2024.1.14)した翌日、ナウルの台湾断行が発表された

反中志向のつよい蔡英文政権になってから、台湾と断交して中国と国交を結んだ国は、合計9か国にも及ぶことになった。



*近年台湾と国交を断行した国
2024.1 ナウル(蔡英文政権下)
2021.12 ニカラグア(蔡英文政権下)
2019.9 キリバス(蔡英文政権下)
2019.9 ソロモン諸島(蔡英文政権下)
2018.8 エルサルバドル(蔡英文政権下)
2018.5 ブルキナファソ(蔡英文政権下)
2018.4 ドミニカ共和国(蔡英文政権下)
2017.6 パナマ(蔡英文政権下)
2016.12 サントメプリンシペ (蔡英文政権下)
2013 ガンビア
2007 コスタリカ

*残る13の内訳:
12国連加盟国+バチカン
アフリカ(1): エスワティニ(旧スワジランド) 
カリブ(4): セントキッツ セントルシア セントビンセント ハイチ
中米(3): ガテマラ ホンジュラス ニカラグア(2021.12断交) ベリーズ
南太平洋(3): マーシャル ナウル パラオ ツバル
南米(1): パラグアイ
欧州(1):バチカン

・・・見事に弱小国家のみだ。

GDPトップ100にかろうじて入るのは(データのばらつきあり)、ガテマラ・パラグアイのみ。

*次に台湾と断交する国
はどこだろうか。

・パラグアイ?
中国が、南米のパラグアイに対して、中国との国交樹立を条件として、ワクチンを提供しようとしている、という報道が先日あった。パラグアイは、南米で唯一台湾と外交関係を有する国。

・ガテマラ・ホンジュラス?
ニカラグアが落ちたので、周辺国も続く可能性はある。けれどこの2か国はかなり親米で、ニカラグアは伝統的に左派なので、事情が異なるのではないか。

・セントビンセント?
先日(2021年4月)火山が噴火して、多額の復興資金を必要としている、セントビンセントも、中国に落とされ台湾と断交するリスクが高い国ではないだろうか。いや、アメリカが資金援助する際の条件として、中国と国交を結ばないことを条件とするならば、現状維持が続くか。

・ツバル?
中南米と比べれば、アメリカ依存が低い、太平洋諸国の方が、寝返りリスクは高いのかもしれない。米軍基地があるマーシャルはともかく、ツバルは危ないように思う。

・エスワティニ?
アフリカ唯一の国交保有国であるエスワティニを落とした方が、中国の宣伝効果・台湾へのダメージは強そうだ。中国が攻勢にでそう。

・ブータン(参考)
ブータンは台湾と国交を結んでいないが中国とも国交を結んでいない。中国ブータンは国境画定協議を加速させており、それが完了すれば正式に中国と国交を結ぶことになるのではないか。

英語Wikiによると、ブータンは、国連加盟国で唯一、中国とも台湾とも国交を有していない。中国がブータン領内を秘密裏に侵食し村を建設しているという報道が先日あったが、中国への警戒心か、中国と対立するインドとのバランスか(インド人はブータンを保護国と考えており、ブータン人はインドでビザなしで居住・就労できる)。いずれにしても、中国と国境を接しているブータンが、中台間の「中立的」な立場を保持できているのが面白い。


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[2010.10.24記」

台湾と外交関係を有する国は現在23.バチカンは国連未加盟なので国連加盟国に限定すれば22。

2007年、コスタリカが台湾と断交して中国と外交関係を結んだ。それまで経済的に支えてきた台湾をコケにするような記者会見で、台湾人でなくても心が痛むものだった。コスタリカは中米有数の経済大国で、他の中米諸国への影響も予想されたが、他の国に台湾外交見直しの波は押し寄せなかったようだ。大局的に見れば、見直しは時間の問題かもしれない。

Belize (1989)
Burkina Faso (1994)
Dominican Republic (1957)
El Salvador (1961)
Gambia (1995)
Guatemala (1960)
Haiti (1956)
Honduras (1965)
Kiribati (2003)
Marshall Islands (1998)
Nauru (1980–2002, 2005)
Nicaragua (1990)
Palau (1999)
Panama (1954)
Paraguay (1957)
Saint Kitts and Nevis (1983)
Saint Lucia (1984–1997, 2007)
Saint Vincent and the Grenadines (1981)
São Tomé and Príncipe (1997)
Solomon Islands (1983)
Swaziland (1968)
Tuvalu (1979)
Vatican City (The Holy See) (1942)

以上 Wiki英語版より

地域別に整理すると中米・アフリカ・南太平洋に集中している。

アフリカ4:ガンビア サントメ スワジランド ブルキナファソ
カリブ5 セントキッツ セントルシア セントビンセント ドミニカ共和国 ハイチ
中米6 エルサルバドル ガテマラ ホンジュラス ニカラグア パナマ ベリーズ
南太平洋6 キリバス マーシャル ナウル パラオ ソロモン ツバル
その他2  パラグアイ (バチカン)