トランプ政権に反意を表明し、アカデミー賞授賞式をボイコットしたのも記憶に新しい所!
映画のストーリーだけを追ってたら、この映画のメッセージの半分ぐらいしか理解できない
難しい映画でしたね。
教師の夫と妻。夫の留守中に妻が暴漢に襲われる!この事件をきっかけに夫婦の関係が180度変わってしまい…。妻の気持ちをよそに、夫は独自に犯人探しを開始する。
主人公が教師?セールスマンじゃないの?この夫婦は小さな劇団で演劇をやっていて、そこでの演目がセールスマンの死なんです
という事でネタバレとかじゃなくて、セールスマンの死のストーリーぐらいは知っとかないと本編が分からない。
男性主義的な旧い価値観に凝り固まった男の崩壊が、そのままアメリカの旧価値観の崩壊として描かれるのがアーサー・ミラーのセールスマンの死です!
しかし主人公の教師はリベラリストで生徒からも慕われていて、他人にも優しく、妻にも優しい。セールスマンの死のウィリーとは真逆の男です。
じゃあ何故、サブテキストてしてアーサー・ミラーのセールスマンの死が存在しているのか?
この映画が色々な事を暗喩的に描いてるのは、映画ファンに謎解きさせたいからでは無く…。イランは検閲が厳しくストレートに表現出来ないからです
監督自身が言ってる様にコレは夫婦を描いていながら、内実イランを描いています!直接、体制を批判する映画は撮れないので、セールスマンの死をかませて描いています。芸術に対して検閲…。どう考えても良い事じゃないですが、検閲のおかげで本作に深みが出た部分はあると思いますね!
エンディングまで話が行きますんで、これから観たいのに
って方はフェードアウトでお願いします。
暴漢の残したトラックのナンバーから犯人に後、一歩まで迫った教師!犯人と思った男から一捻りあって真犯人が分かります。
古着をトラックで売ってる初老の男です。つまり彼がセールスマンですね!イラン革命後から、現在のイランを作った世代。その彼が女性に乱暴する(検閲されるので、あくまでレイプと言う言葉は使われません)という最低な行為をしてしまったというモラル・ハザードと、自由主義的な現代人の教師が、いわゆる旧時代的な男性主義、目には目を的な価値観を本人が無自覚的に持っていたと分かる事が結末です。
やっぱり収まりがつかなくて殴ってしまうシーンがスゴいですね!自分のした事を棚上げで家に帰してくれっていうジジィにイラついてたんで…。殴った教師に良くやったと思って観てたんですが…。その後の展開にテンション・ダウン
監督にお前もそうなのか?と言われた気がしましたね。
イランを描いていると言いながら、そのまた奥にやっぱり国籍、人種に関係の無い人間の本性みたいなモノを描いているんですねぇ〜。
復讐より赦しを選ぶ妻ですが、単純に心の清らかな女性って事では無く、中東の法律や価値観で言われる「レイプされた方が悪い」に対して黙ってしまった部分が多いにあります
そこだけピックアップするとトンデモない国だと思いますが…。日本にも被害者に「そんな服を着てる方が悪い」とか「レイプするぐらいの方が元気がいい」なんて事を言う政治家が居ましたからね。やっぱりイランだけの問題じゃ無く、世界の問題を描いてるんですね。
政治的なメッセージが強かった、今年のアカデミー賞ですが、性的マイノリティを描いたムーンライト、レイプされた女性の復讐譚エル、旧時代の価値観を持つ父親とその家庭の崩壊を描いたフェンス、そして本作セールスマンなんかは面白い程、繋がってますね。ではまた

