『臨時財政対策債等の元金償還額と交付税措置額のかい離』


財政再建は議会の上で進めて参りました。単年度の黒字化にこだわった「大阪維新の会」が財政再建をしたと思っておられる方々にご一読いただけましたら幸いに存じます

 

「臨時財政対策債(*1)」は、本来、地方交付税(*2)として国から現金で交付されるべきものを、国の財源不足のために、地方自治体自らが債権を発行して資金確保しているものです。


償還財源(*3)は、あとで地方交付税に上乗せされるため、地方自治体(大阪府)の負担とはならない、というのがこれまでの説明でした。しかし、年度ごとの償還額と、地方交付税のもととなる基準財政需要額(*4)への算入額に違いがあり、結果として大きな負債の先送りをしていたことを指摘してきたのです。

府債の発行額の大半を占める満期一括償還の例で言うと、基準財政需要額の算入は、全国の自治体の償還方法ペースの平均を基準として、3年間据え置きのあと、一部を20年償還、残りを30年償還するものとされており、府の償還方法よりも前倒しで償還していく形になっています。


このため、20年目までは、府が減債基金(*5)に積み立てていく額より基準財政需要額に算入される額が大きくなりますが、21年目以降は逆転し、一般財源で持ち出して償還することとなります。

同様の現象は減収補填債(*6)などでも見られ、これら臨時財政対策債等の償還にかかる一般財源からの持ち出しは、平成34年度から55年度の22年間で約5,100億円にのぼるという試算になりました。これは明らかに将来世代に負担を先送りしていると考えました。

 

上記の事実を自民党府議団は府議会で追及し、国からの地方交付税による償還財源と大阪府の減債基金への積み立てのペースを一致させ、負債の先送りに歯止めをかけてきたのです。こういった問題を放置していれば、大きな負債が将来世代に先送りされることになっていたのです。

 

財政再建は議会での議論の上で問題点を明確にしてきたものであり、「維新の会」だけの手柄ではありません。

 

*1 臨時財政対策債・・・地方交付税として交付するべき財源が不足した場合に、地方交付税の交付額を減らして、その穴埋めとして、該当する地方公共団体自らに地方を発行させる制度

*2 地方交付税・・・国が地方公共団体(都道府県及び市町村をいう。) の財源の偏在を調整することを目的とした地方財政調整制度

*3 償還財源・・・債務を償還するための資金源のこと

*4 基準財政需要額・・・地方公共団体が標準的な公共サービスをおこなうために必要とする一般財源。基準財政需要額が基準財政収入額を超える額を地方交付税で賄う

*5 減債基金・・・債券の償還にそなえて,債券を発行しているうちから一定の金額を積立てるもの

*6 減収補填債・・・地方税の収入額が標準税収入額を下回る場合、その減収を補うために発行される地方債