空き家の固定資産税情報の活用について

ふるさと納税制度の見直しについて

幼稚教育の無償化について

 

 

以下に概要を申し述べます。

 

空き家の固定資産税情報の活用について

Q

空き家が全国的に深刻な問題となっているのは既にご案内の通り。

本日は総務省が所管している固定資産税情報の法律解釈についてお尋ねしたい。

多くの自治体では、居住者のいる住戸が1つでもある長屋は、空家法上の「空家等」にはあたらないという解釈をしているので、空家法に基づいて、所有者を特定する上で最も有効な手掛かりである「固定資産税情報」を活用することはできないと思っている。

京都市、尼崎市等が条例を根拠として、固定資産税の情報を活用している事例もあるので、問題はないと考えている方もおられるかもしれませんが、多くの自治体は条例を根拠とした税情報の利用は、地方税法第22条が定める守秘義務に抵触するおそれがあり、固定資産税情報を活用できないと思っている。事実、自治体は訴訟のリスクを抱えており、多くの市町村が空家法に基づく税情報の利用ができないのが実情。

こういった問題が、長屋の空き住戸の所有者の特定が進まず、大きな支障になっている。

そこで総務省に明確にご答弁して頂きたいが、地方税法第22条が定める守秘義務に抵触しないとする明確な見解が示めせば、市町村も判断しやすくなると思われるが総務省のご見解はどうか。

 

A

空家法の対象外である長屋・共同住宅については、空家法と同一の目的のもとに、措置の対象として規定する条例を定めることが可能とされている。

当該条例に基づき地方税法の守秘義務に抵触せず情報提供を行うことができるかどうかについては、当該情報を得ることで実施が可能となる施策の公益性が、地方税法第22条が定める守秘義務による保護法益を上回ると判断される場合、当該条例に、空家法の場合と同様に、「条例の施行のために必要な限度において、固定資産税の所有者の情報を市町村の内部で利用することができる」旨の条文を規定することにより、可能となるものと考えている

 

 

ふるさと納税制度の見直しについて

Q

今国会では、「ふるさと納税制度」の見直しが予定されており、しばしばこの委員会でも議論されてきた。

そもそも、この制度は納税ではなく、寄付であって、返礼品とは全く関係がいつの間にか多額の寄付を集める手段として返礼品合戦になってきた。無秩序な返礼品競争は寄付という行為の意義が薄れるだけでなく、税の根幹をゆがめている。

また、寄付文化の醸成どころか、反対に、得がなければ寄付をしない。我が国の寄付文化をゆがめていると感じている。そもそも、納税をして返礼品をもらうのはおかしいと思います。

今回の改正案では、返礼品については、「寄付額の30%以下で地場産品」とする基準を守らない自治体は指定自治体から外し、来年6月1日以降は寄付をしても税優遇を受けられなくなるような仕組みにしており、大いに評価をしますが、本来は、寄付に対して返礼品というのはおかしいと思っているので、返礼品は全面禁止にすべきと考えている。

多くの自治体が2度の大臣通知を守っていだいている、これだけ問題視されている中にあっても、寄付金を荒稼ぎしている自治体があるのは極めて残念であり批判しなければならない。

報道によると、駆け込みで年度内で約360億円も集めた自治体があると聞いているが、これだけ多額のお金を集めれば当然、他の自治体への悪影響が出ているのではないかと思う。これは、地方財政法第2条の地方財政運営の基準に抵触する恐れがあると考えるが、総務省の見解はどうか

また、こういった自治体がいるから制度の見直しを迫られたのです。こういった自治体を、私は例えば5年間指定から外すべきだと考えるが合わせて見解を聞かせてほしい。

 

A

全国の多くの団体が、財源確保に苦しみつつも、ふるさと納税について良識のある対応を取っていただいている中において、一部の団体が、制度のすき間を狙って趣旨に反する返礼品によって多額の寄附を集めようとする振る舞いは、他の地方公共団体の理解を得ることはできないと考えている。

一般論として申し上げれば、地方公共団体がふるさと納税制度の趣旨に反して、過度な返礼品を送付することにより著しく多額の寄附を集め、他の地方公共団体の税収を大きく減少させる場合には、地方財政法第2条第1項の規定との関係が問われる可能性があるものと考えている。

指定基準の具体的な内容については今後検討することとなるが、募集の適正な実施に係る基準に適合する地方公共団体として認められるかどうかを、できる限り客観的な情報を基に判断した上で、ふるさと納税の対象となる地方公共団体の指定を行う必要があるものと考えている

 

*参考・・・地方財政法

第二条 地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行つてはならない。

 

要望

私は財政法違反がないかどうか、総務省が内容をきちんと調べるよう要望します。

認定できれば、財政法違反で交付税を減額できる。もう1つ、法改正が必要であるが、集めた多額の寄付を自治体の基準財政収入額等とみなして、例えば、翌年度の交付税を減額する制度を検討すべき。いずれにしても「集め得」ということにならないようお願いしたい。

 

 

幼稚教育の無償化について

Q

全世代型社会保障制度への転換、子育てしやすい環境を国としてつくっていこうという政策判断である。

先ず、幼稚教育の無償化との目的を教えほしい。それと通年ベースでどれくらいのお金がかかるのか

 

A

今般の幼児教育、保育の無償化は、一つとして、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策、それから二つ目に、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性といった観点から、本年十月より実施するものです。

来年度の予算案としては、国と地方合わせて3,882億円、これを1年間の平年度ベースに直しますと、7,764億円となります。

 

Q

約7800億円の多額の税を投入する事業で大きな政策転換。

先ず、保護者が今まで支払っていたお金が使わずに済むのであれば、7800億円が家計から出ていかないことになる。その7800億円の効果が2人目、3人目に出産に繋がるのか、この政策をする前と、した後の出生率の変化が生じたのか、また、政策的な効果があったのか。それとも、貯蓄にまわったのか、このお金が消費にまわるのか、きちんと検証すべき。

そうでないと今後の拡充を含めて国民の理解を得られないと考える。是非とも費用対効果の検証を行うべきと考えるがどうか。

 

A

政策効果の検証ということは重要である

今般の幼児教育、保育の無償化は、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策の観点、それから生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性といった観点から実施するものであり、これらの政策効果の把握をどのようにしていくのか、その具体的な方法も含めて検討してまいります。

 

Q

内閣府にお聞きしたら、31年度当初ベースで少子化対策予算が約5兆1千200億ある。昨年は4兆5千700億、一昨年は4兆3千300億、と年々大きくなっているが、その一方で、出生率は2015年が1.45、2016年が1.44、2017年が1.43と下がっている

私は全ての少子化対策予算の費用対効果を検証すべきと思っているが、まずは、この度の約7800億円という大きなお金、幼稚教育の無償化という政策によって、本来、家計から出ていくお金が、1世帯では、月額2万、3万円のお金が出ていかないことになる。そのことを保護者にきちんとお伝えすることによって、2人目、3人目を産んで頂く動機にもつなげていかなければならないと思っています。

また、そのためには各自治体で徹底した行政コストの「見える化」して、政策的に保護者の負担下軽減ができているということを周知し効果が高まるよう内閣府と総務省と連携して頂きたいと考えるが、見解はどうか。

 

A

今般の公費で7800億円を負担する幼児教育無償化の政策効果の検証は、先ほど内閣府から答弁があったように、今後検討されるものと認識している。

今般の幼児教育・保育の無償化は、少子化対策・幼児教育の重要性の観点から、極めて重要な政策と考えている。内閣府における検証も踏まえ内閣府と連携し、その趣旨・目的をしっかりと周知していきたい