【個人所得課税改革について】

 

今回の税制改正で、女性の社会進出を促すために配偶者控除の適用を受けられる、いわゆる「103万円の壁」の見直しが予定されています。

 

ただし、社会保険の「130万円の壁」との関係もあり、その部分の改正がなされないと実質的には以前と変わらないというご批判もありますが、今回の見直しで、働きたい人が就業調整を行うことを意識しないで働くことができる環境を進めることができたという点では大きな1歩であると言えます。

 

また、女性活躍の観点からも、従業員の就業調整による人手不足の解消の観点からも、大きな意義があると考えます。

 

例えば、地元の中小企業者や介護現場でお話を聞くと、現在は就労時間に制限(103万円の壁)があり、繁忙期や年末などは人材の確保できない。特に最近は賃金が上がっているので、今までよりも短い時間しか働いてもらえず、年末になれば、就労調整で仕事に支障をきたしている等のご意見を聞いています。特に介護現場では、12月は就労調整でシフトが組めず深刻な状態になっているそうです。

 

一方で、働く方々にもお話を聞いていますが、もう少し働きたいのに103万円の壁があって就労調整をしなければならず、困っているので緩和をして欲しい等の意見が寄せられました。

 

今回の改正は万全ではないかもしれませんが、最近になって労働者の賃金が上がっていることを考えれば非常にタイムリーな改正であると考えます。

 

しかし、今回の見直しにより国税は平年度で約390億円の増収になるのに対し、地方税は約420億円の減収となる見込みとなっています。政府の説明では「今回の配偶者控除・配偶者特別控除の見直しによる個人住民税の減収額については、全額国費で補てんする」としていますが、具体的な補てん方法は確定していません。

 

私は交付税というのは、国と地方で様々な意見の相違もあり、好ましい補てん方法ではないと考えます。また、いまだに、国は地方が必要とする交付税総額の財源を確保できず、臨時財政対策債を発行していることを考えれば、交付税で補てんをするといのは、きちんとお金がもらえていないような感覚になっており、地方の理解を得られにくいと考えます。更に、交付税で補てんをするのであれば、現在77の団体は不交付団体(地方交付税が貰えない団体)であり、個人住民税の減収分は補てんがされないことになり不公平であると考えます。11つの地方団体の財源不足をきちんと積算して、毎年、交付金という形で財源補てんをするよう要望致しました

 

また、今回の見直によって、働きに出る人が増加し、また、現にパートで働いている方の労働時間が増加するという効果が出てくれば、今までよりも更に保育を必要とする人が増えるのではないか心配であります。

 

安倍内閣になって保育の受け皿を整備や保育人材の確保ということについては大変頑張って頂いていると認識しているが、待機児童の問題は、首都圏のみならず地方都市においても喫緊の課題となっており、今まで以上にスピードアップして待機児童解消に向けた取り組みを力強く進めていく必要がある。総務省に対しても、各省庁と連携し保育の受け皿の拡大を更に積極的に推進していくよう要望した。