8月9日に開かれた第6回の協議会では、「都構想」による財政的効果の試算が橋下市長、松井知事から示されました。

 現在の改革の取り組みによる、継続的効果として、706億円(府市統合と府政改革・市政改革を含む)、一時効果として、37億円(府市統合)。新たな大都市制度「都構想」の実現による、継続的効果として、30億円~270億円。合計で約970億円の効果だとされています。

 この中には、カッコ書きしましたように、都構想にしなくてもできる府市統合(類似事業の最適化)の効果額が入っていると同時に地下鉄やバスの民営化、人員削減等、単なる市政改革の効果額も算入されており、「都構想」とは全く関係のない数字が列挙されています。あたかも「都構想」にすれば、財政的効果が高いかのような資料となっていますが、水増ししているとしか言いようがありません。ご理解頂きたいのは、「都構想」と「府市統合と市政改革・府政改革」は、全く別のものだということです。無論、府・市の改革は現行制度の下で行われており、都構想を前提とはしていません。都構想が実現するのは議会承認後、住民投票で可決された後です。無論、議会や住民投票で否決される可能性も多分にあるのです。

 我々は、府政改革、市政改革、府市の協調は大賛成であり、感情的に「都構想」に反対しているのではありません。二重行政の解消、広域機能の一元化を推進してきた立場です。その目的を達成する手段として「広域戦略協議会」、いわゆる府市統合を協議する制度を条例化しようと提案しているのです。

 松井知事は当初「都構想」の効果は4,000億円あると豪語していたのですが、前途のように都合の良い数字を全て加算しても970億円なのです。反対に都構想に移行するための経費は640億円必要です。純粋に差引すれば都構想の効果額は370億円のマイナスになります。

 地方統一選挙や知事選、市長選のダブル選挙では有権者に「都構想」にすれば大きな財政的効果があり、そのお金を景気対策や住民サービスに使うと言っていましたが、そのような効果がないことが橋下市長、松井知事から提出された資料で明らかになったのです。

 選挙戦を優位に戦うため根拠のないデタラメな数字を並べた責任をどのように考えているのか、今からでも4,000億円の数字について明確な説明をしてほしいものです。説明できなければ有権者に素直にお詫びすべきではないでしょうか。

 我が団からは花谷幹事長が大阪府・大阪市特別区設置協議会に委員として出席していますが、冷静な議論を通じて、都構想の全貌(虚構)を皆様に明らかにして参りたいと考えております。

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