12月議会では削減中の私学助成の問題も大きな議論となりましたが、財政難の大阪府にとって簡単に結論を出せない問題でもあり、府民の大きな関心事であります。

そこで2月の予算議会(審議)の前に少しで問題点を整理しておきたいと思います。
そもそも私学に対する助成制度は子供達が等しく教育を受ける権利を保証するという意味からできています。大きくは各幼稚園、小学校、中学校、高等学校への「私学経常費助成」とそこに通う保護者のための「授業料軽減助成」の2種類があります。

ここで肝心なのは公私の在り方の整理であります。そもそも小学校と、中学校は国の義務教育制度があるため全ての子供達に対し平等に公立学校における定員は保証されています。
一方で幼稚園と高等学校は私学を合わせて子供達の定員を調整しているのが実情です。(公私間比率の調整)

義務教育前の選択
1 私学幼稚園(約12.7%) 2 私学保育園(約13.6%)
3 公立幼稚園(約21.3%) 4 公立保育園(約41.4%)
5 自宅等  (約10.8%)

小学校での選択肢{義務教育}
1 公立小学校(約97.9%)      2 私立小学校(約1.6%)

中学校としての選択{義務教育}
1 公立中学校(約89%)        2 私立中学校(約10%)

義務教育を終えての選択肢
1 公立高等学校 (約70%)44,800人
2 私立高等学校 (約30%)19,100人
3 専門学校、就職等(約1%)

上記の数字をみていただければ一目瞭然でありますが、高等学校では99%の子供達が高等学校へ進学しているのにもかかわらず、公立は定員の7割程度しか受入が出来ないのが現状です。これは幼稚園も同じ事であり私学助成を考えるときの大きな根拠となるのです。

大阪府では昭和60年頃から公私間の定員を「7対3」と取り決めており、実質的には私学に大きく依存しています。

7月議会の私学助成のカット率は
幼稚園2.5%、小学校25%、中学校25%、高等学校10%であります。

最近になって知事も認識を改めましたが、私立幼稚園や高等学校においてはお金持ちだけが私学に行っているのではありません。
データの上では公私、保護者の所得はほとんど同じであります。公立が定員の7割しかなく成績による進路指導、地理的要因、公立受験の失敗等、経済的に余裕がなくても選択肢が私学以外与えられない子供達もたくさんいます。
一方で助成金をカットされた私学側の6割以上が来年度より授業料の値上げを行う予定であります。

少子化の進行によって経営環境が改善しない私学にとって授業料値上げは苦渋の選択であります。橋下知事は公私間の「7対3」の協定そのものに異議を唱えておりますが、簡単には結論がだせない状態です。大阪府財政の単価面だけで申せば教育は私学で任せた方が絶対に安いのです。