基礎⾃治体の問題、住⺠自治の限界、特別自治区再編の意義・効果について

大阪市解体についての橋下市長の持論は以下の通りでありますが、これも1つ1つ(端的ではありますが)検証していきます。

橋下市長の主張
1.管理スパンが大きい

(ア)教育の例(橋下市長提出資料P26)
大阪市が所管する学校は、高校や支援学校もあり種類が多く、公立学校数は全国一で、府の3倍、東京都の2倍に上る。
また、教育委員一人当たりの学校数・児童生徒数は中核市や一般市の5倍~13倍と多い。
各地域の子どもたちに向き合ってきめ細かな教育を行うには、管理スパンが大きい。

・(ア)についての見解
橋下市長は大阪市が所管している学校数が多いため「各地域の子どもたちに向き合ってきめ細かな教育ができていない」と主張されていますが、自治体の規模と「教育問題」にどのような因果関係があるのか全く示されていません。
例えば、人口34万人の大津市では、小学校38校、中学校18校を所管されていますが、「いじめ、自殺」が残念なことにおこりました。

市町村が所管する「学校数」や「教育委員数」と教育問題に大きな因果関係はないことは明らかです。

また、大津市は橋下市長が掲げる「学校選択背制」を導入しており、「地域の子どもたち」と主張されるのであれば、学校選択制を主張されるのは矛盾であると思われる。

そもそも、橋下市長は「教育委員会」は不要、選挙で選ばれた政治家(首長)が教育の権限を有するべきと主張されています。

首長1人で全ての学校を把握することは困難です。

自己矛盾ではないでしょうか。

各地域の子どもたちに向き合ってきめ細やかや教育を行うとはどのようなことなのか、また、大阪市の抱える教育問題は管理スパンを変更することで解決されるのか。

具体的な問題提起をすべきです。

(イ)道路の例(橋下市長提出資料P27)
大阪市が所管する道路は、国道、主要府道から一般市道まで種類が多く、管理延長も長く、中核市の4倍、大阪府の2.5倍を上回っている。
一人の首長が、広域幹線道路から住民の暮らしに密着した生活道路まで多様で、数多くの路線について、個々の状況を把握し、適切な対応をするには限界がある。

・(イ)についての見解
大阪市内の道路行政は他の市町村とは異なり、大阪市が一元管理していることで窓口が一本化されており住民にとって便利である。

例えば、政令市以外は、府道(国道)と市道の交差点の改良やカーブミラーの設置等を要望する際、地元市と大阪府の両方に要望を伝えなければならない。
また、意思決定には2つの自治体「市町村」と「大阪府」の調整、合意が必要で大きな時間を要する。
歩道の改良、カーブミラーの設置等は利害がかみ合わず要望に沿えないことが多い。

対して大阪市の場合はほぼ全ての道路を一元的に管理しており、住民ニーズに即座に対応できる体制となっています。

道路の補修、改良等の業務は行政判断で出来ることがほとんどであり、首長が数多くの路線の個々の状況を把握する必要は全くありません。

道路を適切に管理するには首長の政治判断だけが必要なのではなく、適正な職員数を確保し、予算をしっかりと措置することが肝要であります。

橋下市長の主張されている、大阪市が適切に対応していない路線はどこの路線なのか、また、橋下市長の政治判断がなければ適正な道路管理はできないのか、具体的に示すべきであります。