Q1

今議会で再びWTCへの府庁舎移転案を提出されていますが、はじめに提案の真意を確認させていただきます。
2月議会の知事の答弁で「なによりも府庁の移転にはタイミングが大切」、いくらいい案でもタイミングを逃せば効果は全くはっきしないと答弁されています。
今回の提案説明ではタイミングの説明が一度もありませんので、2月議会の知事の答弁を信用していると、今回の移転案のタイミングはまちがえているのではないかと思えるのですが・・・
また、2月議会で移転が実現しなければ、全てがクールダウン・・政治家としての感性でそのようなことを感じている・・と発言されています。
では現在は全てがクールダウンしているのか?部局としての認識を聞かせて下さい。

A1

○ まず、タイミングについては、2月にはWTC社の会社更生手続との関係で、大阪市から3月一杯という期限を示されたため申し上げていたもの。
  今回、更生計画の手続を進める中で、更生管財人から府に対して庁舎移転の要請があったことから、改めてご提案申し上げるタイミングが生じたと理解。

○ 「全てがクールダウン」との知事の発言ですが、本年2月には、府と市が共同で「都市構想(案)」を作成し、まちづくりを進めることとしていたが、府庁のWTC移転が実現できなければ、この都市構想案も白紙に戻さざるを得ないということを述べたものと理解。

○ しかし、このたび、7月に平松市長から府庁移転検討の要請があり、また、8月に改めて「夢洲・咲洲まちづくり推進協議会」への参画を要請され、本日、「中間とりまとめ」がなされた。
  そういう意味では、府市の共同の取組みに再チャレンジしているところである。

Q2

テクノポート計画をはじめとする大阪市の湾岸開発は長年、莫大な費用をかけてきたのにも関わらずことごとく失敗してきました。
では何故大きな投資をしてきたのにもかかわらず失敗してきたのか、府庁内できちんと検証してきたのか?
どこに、どれくらいのお金を、何の目的で、投資をして、どのような原因で失敗してきたのか詳しい答弁を求めます。
開発権者である大阪市の検証だけを鵜呑みにするのは大変危険であり、言語道断であります。
今後湾岸エリアに身を移す大阪府として徹底的な調査が出来ていないとすれば、今後の糧にはならないと思いますがいかがですか。
「偶者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」といいます、湾岸開発の歴史を十分に学んでいると思いますので、しっかり説明して下さい。

A2

○ 大阪市からは、テクノポート大阪計画のエリアに、大阪市としてインフラ整備(基盤整備と支援施設)に投資した額として、
咲洲・コスモスクエア地区に、 約 3,000億円、
舞洲地区に、           約 2,000億円、
夢洲地区に、           約 2,000億円
の合計が7,000億円と聞いている。

○ また、事業内容としては、道路・鉄道・緑地整備に約3,500億円、埠頭施設に約900億円、土地造成に約1,500億円、インテックス大阪や海の時空館などの施設に約1,100億円と聞いている。

○ テクノポート大阪計画が計画どおりに進めなかったことについては、まちづくり推進協議会の中間とりまとめで改めて整理し、
• 大阪の相対的な地位が低下したこと。
• 事業計画の見通しの甘さから、結果として、厳しい事業状況に陥ったこと。
• 従業人口が当初計画どおりに至っておらず、開発に対する意欲を削ぐ結果につながってしまったこと。
などを理由として整理している。

○ 加えて、アクセスの改善や官民協働の必要性なども整理している。

○ 今後の対応方針として、このような検証結果を踏まえ、かつての公共主導の需要期待型のまちづくりから、地に足をつけた需要喚起型の実現可能な官民協働でのまちづくりへと転換すること、加えて、大阪湾岸部の将来像を見据えながら、国土軸との広域的なアクセスの確保といったことについても、検討方向を整理している。

Q3

今議会でも橋下知事も連発していますし、以前にも大阪府庁が一等地の大手前にあること自体が大阪にとって、府民にとって大きな経済的損失と答弁されていますが、どのくらいの損失なのか?
同時にその発言は地方自治法で定めている庁舎の位置の住民の利便性と矛盾するのではないでしょうか。
この発言の解釈しだいでは、将来湾岸エリアが著しく発展すれば、WTCから府庁が再度一等地でないところに移転しないと、また府民に経済的損失を与えるのではないかともきこえますがいかがでしょうか。
一等地に府庁があることが本当に府民に迷惑なのか?

A3

○ 知事の発言は、一等地に府庁があることが府民に迷惑となるということまでを言ったものではなく、大手前には、地域発展のポテンシャルがあり、この貴重な財産を府庁として利用するよりも、広く府民の利用にかなうように有効活用すべきであるという考えと理解。

○ 地方自治法において、庁舎の位置について、「住民の利用に最も便利であるように」とされていることはそのとおりだが、これは、必ずしも一等地であることを指したものではなく、住民の利便性を考慮して慎重に検討すべきとの意味と理解。

○ また、咲洲が一等地になれば、庁舎を移転すべきということになるとのご指摘は、文脈上はそうなるかもしれないが、今後、咲洲のまちづくりにおける庁舎移転の意味をしっかり考えなければならないと思う。

Q4

橋下知事は登庁時の会見で「WTCへの府庁移転が東アジアの都市間競争に必用」と発言されているが、その理由はなんでしょうか。
府庁にそれだけの力があるのでしょうか?
また「WTCへ府庁がいくことにより「情報発信力」が備わる。
今はインテックスがあるが、あそこで展示会をやろうという市場の論理になっていない・・・
要するにコンベンション機能を強化するとの趣旨なのか?
私にとっては理解に苦しむ発言ですが・・・また「韓国のコンベンション施設を運営している代表者が言うに、東アジアのナンバー1の土地は咲島。
なぜあのような状態なのか、と首をかしげている。
だからこそWTCに府庁舎を移転してシンボリックな土地にすることは絶対必用」とも発言されているが、そもそも府庁舎とはそんなにシンボリックな存在なのか?
それではなぜ、そのような情報発信力があってシンボルとなる府庁が大手前のあるのに、大手間がそれほど活性かしていないのか?
そもそも県庁とはそんなに情報発信力があってシンボリックなところなのでしょうか。
他府県の県庁所在地の事例も含めご説明願います。

A4 

○ 庁舎がシンボリックな存在であるとすれば、大手前が発展しなければおかしいというご指摘については、そのとおり。

○ 府庁が移転するだけで、自動的に「まちづくり」が進むものではない。
府庁舎のWTC移転は、そのことによって府市の連携が強化され、また、経済界も協力することによって、咲洲のまちづくりを大きく進めるきっかけになるものと考えている。

そもそも湾岸開発が失敗した理由について、知事はシンボルがなかったと発言されていますが、府庁舎は街づくりのシンボルにはならない。

*府庁の位置や移転と街づくりは分けて議論されるべき

Q5

2月議会での大手前地区都市構想案では府庁舎移転後の大手前の姿として
「大阪の顔、大阪のオアシス・・・観光、迎賓、交流」とあるが今議会の成人病センターの移転案とは大きく矛盾する内容となっています。
また、今回の大手前の低未利用地の活用=成人病センター移転に大阪市の意見が反映していないのではないでしょうか?
大阪市の賛同を得ているのでしょうか。
また、かなり拙速な議論をしていることは否めないと思っている。
事実8月5日の第1回大手前まちづくり検討会でも成人病センターを大手前にもってくるかどうかでまちの性格づけが変わるという指摘もあった。
医療と観光? 医療と迎賓? 医療と交流??大阪の顔?全くコンセプトが異なりますが?ご説明願います。
また、大手前に成人病センターを移設すれば、森の宮に大きなデットストックがうまれますが、低未利用地の放置することは府民に迷惑と何度も答弁されています、政策的に矛盾しませんか?

A5 

○ 成人病センターを大手前へ移転する方針を決定した経緯については、本会議でも答弁しているところ。

○ しかしながら結果として、2月の都市構想(案)と大きく異なる内容となったことについては、お詫びする。その時点から成人病センターも視野に入れた検討をすべきであった。
また、森之宮跡地の有効利用について、しっかりと検討すべきとの委員のご指摘は重く受け止める。

○ 大手前まちづくり検討会の中間とりまとめでも示されているとおり、大手前のまちづくりは、「大阪城周辺地域活性化のリーディングプロジェクト」と位置づけており、「その広がりについては、まちづくりの進展にあわせて関係者からなる新たな検討の場を設けるべし」とのご意見をいただいている。

○ 今後、健康医療部、病院機構とも連携し、また、大阪市にもご参加いただき、森之宮の活用策についてしっかりと検討していく。

Q5(再質問)

破産会社の社員といわれているし、民間の感覚がないと言われているが、正しくこの提案が破産会社のすることでないし、民間の感覚であれば、即座に売却等の有効な活用と必ずセットだと考えますがいかがですか。答えられますか?

Q6

大阪府庁たるもの「知の集積」WTCビル=インテリジェンスビルに移転すれば、それを最大活用して、目に見えた額では判断できないかも知れませんが、これだけ優秀な組織の「知の集積」というものをIT技術を駆使しながら、本当にインテリジェンスビルにきちんと集積をすれば、その経済効果たるものお金に換算できないぐらいの効果がある。と答弁されていますが、出来るだけ具体的に説明して下さい。
A 庁舎を集約することによる効率=時間短縮等
B 知の集積をした場合の効果額と活用等

A6

○ まず、庁舎を集約することによる効率ですが、一定の前提条件を置いて試算した場合、例えば、
  〔業務効率の向上について〕
・公共建築室でH18年・20年に実施した執務室のレイアウト改善の実施後に行ったアンケート調査による1日一人当たりの作業時間短縮は、約4.5分?5.4分。
〔庁舎の集約について〕
・分散庁舎を一棟に集約した場合の移動時間の短縮を、全職員が別の建物に平均して2日に1回行き来すると仮定した場合、その建物間の往復に一人1日当たり約4分かかり、毎日1回行き来すると仮定すると、一人1日当たり約8分かかる。
 ・WTCビルにおける上下の移動時間と現庁舎における上下の移動時間が同じだと仮定すると、この4分ないし8分程度が短縮できる時間と試算できる。

○ また、知の集積をした場合の効果額ですが、ご指摘のとおり、知事の「お金に換算できないぐらいの効果がある」との発言については、インテリジェントビルでITを活用し、仕事の仕方を大きく変える、そのことによって、事務の効率性と創造性を飛躍的に高めたいという気持ちを示したものと理解。
これを貨幣価値に換算して、大手前と比較することは困難。

Q7

大阪市の本気度について申し上げます。
現在の大阪市の財政状態は私が申し上げるまでもなく、大変厳しい状態であります。
生活保護の急増、扶助費などの高騰・・・このままでは2015年には財政再生団体に転落する危険性もあり、事実様々な事業もストップしている状態であり、財政の建て直しが急務であります。
そこで大阪市が本当に湾岸エリアに今後莫大な投資をしてくれるのか大いに疑問があります。
WTCも2次破綻しましたが、ATCの経営も大変厳しいとお聞きしています。
先ず、湾岸エリアに大阪市が投入してきた額は政策企画部からの説明では、7000億円とお聞きしていますが、そのような少ない額ではありません。
その中にはWTC約1200億円、及びそれに関する債務保証の金額も含まれていませんし、ATCには約1500億円も投資されています、その額も7000億円には含まれていません。
一番の心配は、大阪市はテクノポート計画の二の舞はしたくないとの思いが強いと思われます。
府庁がWTCビルに移転すれば、現在WTCビルにいる大阪市の職員1700名はATCに移動すると聞いていますが、ここで2つの疑問が生まれます。
1つは、本来ATC及び周辺はニギワイや人の流れを中心とした構想になっていますし、ATCの機能強化=海外機関の誘致などが想定されています。
しかし現在でもATCの全体の20%は市の関連団体が入居しています。
大阪市の職員はニギワイとは程遠い存在です。
ATCの現在の空き面積=約2万平米 9,10Fの約5千平米空きがありありますが、大阪市の職員が入ればATCが事実上大阪市の第2庁舎となりニギワイがうまれる要素が破壊されということであります。
もう一つの疑問は、大阪市がATCを延命するのに必死であり、関連団体を入居させ、毎年補助金あわせて約20億円ATCに支払しています。
あまり知られていませんが、ATCは金融機関と大阪市とあわせ698億円の債権放棄を受けていますし、その額はWTCの約5倍であります。
ご承知のようにATCは2004年に特定調停がなされており、大阪市が新たに40億円を出資し、187億円貸付している。
特定調停後は莫大な損益を計上し、やっとここ数年、年間10億円強の利益がでるようになっていますが、今なお、経営状態は深刻で20年度決算、21年3月31日現在の決算で長期借入金452億円あり、これがなかなか減らない。
株主資本は?264億円を計上しています。
現在、大阪市がATCに20億円支払していますが、これがなければたちまち破綻する状態であります。そのような状態で湾岸エリアに新たな投資が出来るのか、また市議会での同意が得られるのか疑問であります。
本当にATCは破綻しないのか?
ATCがこのような豊満経営の状態でよいと思われていますか?
そんな状態で本当に発展するとおもわれますか?

A7 

○ 大阪市においては、府庁がWTCに移転した場合の具体的な庁舎配置は未定だが、ATCに移る関係局については、ATCビルの高層階のまとまった空スペース( ITM棟9階、10階 約10,000? )を中心に活用することが考えられる、と聞いている。

○ 大阪市の関係局の移転先としては、ATCビルの来場者で賑わう商業、アミューズメント等のエリアを活用することは考えていないと聞いており、現在の賑わい創出のための空間やコンベンション機能は確保されるものと考える。

○ R岸壁のフェリーターミナル化に伴うATCを含めた界隈への賑わいの創出や、インテクックス大阪等の他のコンベンション施設との施設間連携などといった取り組みは、引き続き可能であり、ATCを活用した咲洲地区のまちづくりの活性化には、取り組む必要があると考えている。

○ ATCの経営状況については、平成20年度の経常利益は12.9億円、前年度比較で2.1億円の減収。当期純利益は12.7億円。
主要な事業であるテナント収入については、前年度比2.4億円の減収であり、大区画での入居確保が課題となっている。
このため、大阪市の部局が入居することで、府市連携と併せて、ATCの経営改善にも資すると考えられる。

*役所は土日は休みなんです。
そのような状態であることを府議会に説明がない。
今後咲州の街づくりを考えるとき、ATCは大阪市の第2庁舎であることを前提に考えていかなければならない。
理事者の説明と現実とは乖離している

Q8

最後に、WTCへの庁舎移転で府市連携が期待をされています。
府市連携をさらに深めていくためには、WTCを大阪府が購入したとしても、府庁の職員だけが入らずに、府市合同庁舎にしてはどうか。
先行取得も含め府議会では様々な議論もすべきだと考えます。
私は府市の人事交流をもっと深めていくべきだと考えています。
WTCビルに大阪市と大阪府の職員を一緒にいれて、連携すべき職員を同じフロアにすることで当事者意識をもっていただくことが肝要だと考えます。
例えば水道や住宅、商工労働部門、特に金融など・・・連携すべき部署を一緒に入れる、政令市と府県が同じフロアで仕事をするのは全国でも例がなく画期的だと考えます。
連携では一般職員だけでなく幹部職員の人事交流も大いにすべきだと考えています。
場合によってはATCにも府庁職員が入居するということも含めて考えるべきではないでしょうか?
また、府議会からの大阪市の本気度ということも言われていますが、一度合同庁舎として府市が連携を深めてから、段階的に府庁舎を移転するといった考え方もありますがいかがですか?
大阪市の本気度も確認できるし一石二鳥だと考えますがいかかですか。

A8

○ 府庁舎問題の解決は先延ばしできない。現在の財政状況からみて、WTCへの庁舎移転は、庁舎問題を抜本的に解決できる唯一の手段と考えている。すべての部局が移動することを前提にご審議をお願いしている。

○ 府庁が移転した場合の府市連携のあり方については、今後具体的に検討協議していくが、基本的には隣接したATCビルとの間で、具体的な連絡調整、業務分担などのほか、現在行っている人事交流についても、具体的連携の分野に応じた効果的な取組みを行っていく。
お示しの幹部職員の交流については、私も非常に意義あることと思うので、しっかり大阪市と協議してまいりたい。

昨夜も深夜まで本日の答弁について激論してきました。
皆真剣です。
賛否は勝ち負けではない。
この問題をきっかけに府市の連携も深まったし、様々な議論の中から今後の課題も見えてきた。更に議論を深め大阪府の発展の糧にしていただきたい。