いつまでも心の奥底に
仕舞い込んだ箱があって
まるで、水の中にあるように
結んだヒモがゆるまって
少し蓋がずれて開いている
水の中の蓋は、閉まったり、少し開いたり。
少し開いた隙間から、少しづつ記憶が漏れ出していく。
漏れ出した記憶はまた、それを思い出して堪能すると
また元の箱の中に押し込まれるように戻っていく。
今、もしあなたが、あたしを思い出すことがあるとしたら
もう、箱の蓋は開け切っていて、全てを解放したあとだと思う。
そしてまあその箱には何もかも残ってはいない。
あたしは全てを開けることはできない。
たまに開けて少しづつ引き出してはまた元に戻す。
箱の中身は忘れていない。
ただ箱が心の奥底にあること、
それを忘れることを
いまだ止められない。