鏡の中の母と娘
この母娘の会話で、気づきましたか?
こんにちは。
寒い日が続きますね。
毎日鍋というわけにもいかず、今日は何を食べようか…
そんなことを考えながら病院に行った、ある日のことです。

病院の待合室というのは、思っている以上に会話が筒抜けです。
聞くつもりはなくても、どうしても耳に入ってきます。
診察を終えたあとでしょうか。
中年の娘さんが、高齢のお母さんの着替えを手伝っていました。
娘さんは、淡々と、でも冷ややかに言います。
「早くして」
お母さんは少し動きがゆっくりで、袖に手を通すのに時間がかかっていました。
すると娘さんは、さらにきつい口調で言います。
「だから、早くって言ってるでしょ」
急かされたお母さんは、思わず声が大きくなります。
「まだ、袖から手が出てないの!」
その瞬間、娘さんはピシャリと返しました。
「声が大きい。静かにして」
このやりとりを見ていて、あなたは何か気づきませんでしたか?
娘さんの口調は、まるで小さな子どもに向けるような言い方でした。
命令形、否定、急かし、感情を抑えた冷たさ。
この二人の育ちや過去を、私は知りません。
だから断定はできません。
でも、こう思ったのです。
きっとこの娘さんは、同じ言葉を、同じ調子で、どこかで浴びてきたのではないか、と。
子どもは、親の言葉を意味より先に覚えます。
口調、間、強さ、感情の温度。
それらは、無意識のうちに体に染み込みます。
そして時が経ち、立場が入れ替わったとき、
その言葉は、形を変えずに返ってくる。
これは、誰かを責めたい話ではありません。
むしろ、とても現実的で、少し怖い話です。
自分が子どもに向けた言葉。
自分が日常で使っている口調。
自分が焦ったときの態度。
それらは、忘れた頃に、
そのままの形で、鏡の中から返ってくる。
極端な話ですが・・
もし、力で抑えつける育て方をしていれば、
いつか、同じ力を向けられる側になるかもしれません。
その言葉、その言動。
それ、昔あなたが子どもにしたことですよ。
そう思ったとき、待合室の空気が、少しだけ張りつめたように感じました。
子育て中の今は、目の前のことで精一杯です。
でも、今日の言葉は、未来の自分に向かって放たれているのかもしれません。
この母娘の会話で、あなたは何に気づきましたか?