新燃岳が激しく噴火しています。日本には活火山が結構あります。実際に噴煙や蒸気が出ている山もありますが、休火山寄りの活火山が殆どです。当然、それらの山には噴火警戒レベルが設定してあり、登山者・観光者の立ち入りを制限する目安になっています。先日、噴火した本白根山は3000年ぶりの噴火(草津白根山系としては1983年に水蒸気爆発がありました)だったわけで、こうなってくると、先祖代々30世代ぐらいにとっては見た目的・被害的には休火山な印象だと思うんです。

 

御嶽山は2014年に噴火警戒レベル1のまま水蒸気噴火しました。火山灰噴出量は1991年の雲仙普賢岳の1/400だそうですが、近代日本で最も多く被害者(死者58名、行方不明5名)を出した火山災害で、皆さんの記憶にも新しいと思います。一概に言えないのは、噴火警戒レベルや噴火の規模は被害に比例しないって事です。

 

忘れがちだけど、富士山だって噴火警戒レベル1なんですよ。レベル1は「活火山である事に留意する」と言う程度です。御嶽山と同じレベル1なので、この「レベル」設定の個体差は相当なものだと言えます。御嶽は1979年に5000年ぶりに目覚めて噴火した山ですからね、その5000年ぶりの噴火に遭遇して命を落としたとしたら、それはもう運が悪かったとしか言えないです。ちなみに富士山の直近の噴火は江戸時代。300年前の宝永の大噴火になります。富士山の下山ルートのひとつに宝永火口を経由するルートがあります。大きくて浮世離れした火口を歩くのは醍醐味です。

 

なので、僕のモットーは「火山は登れる時に登っておけ」です。見た感じで明らかにヤバいレベル3以上で登るのは絶対にダメですが。僕らが元気に登山が出来るのはせいぜい30〜40年で、火山の大きくて長い歴史の中でこの瞬きのような30〜40年と登山可能な時期が合致するタイミングは奇跡の重なりだと思うんです。

 

僕はたまに火山が見たくなります。火口から出る蒸気や噴気を間近で見る。言い尽くせないパワーが地球の奥深くから湧き出ている場所で、自分の全身の温度がジワッと上がって満ちて来ます。人間も地球の細胞の一部である事を強く感じます。辺り一面の荒涼とした灰色の火山岩は、寒々としているのにどこか落ち着くと言いますか。きっと火星はこんな感じなんだろう。

 

植物が生える事が出来る標高まで下りてきた時に見る小さな花の、美しさ、強さ、優しさ、鮮やかさ。火山との生命体のサイズ感のギャップにザワザワします。でも、遜色なくイーブンなんですよ。見た目の大きさや存在感の話じゃないんですよね、その佇まいに背筋が伸びたり心が震えたり、細胞がうごめいたりするのは。