2時に起床するつもりで、早めに横になった。
しかしながら、あまりの寒さに震えが止まらず寝られない。
ウールのアンダーウェア、フリース、ヤッケ、インナーダウン。
これらを着込んで、マイナス10度まで使用可能のシュラフに潜り込む。
これでも寒くて一睡も出来なかった。
せいぜい、ウトウトしたぐらいか。
暖を取ろうと、バーナーでお湯を沸かす。
カップに水を入れた矢先に氷が張る。
テント内の気温は、マイナス3度。
外は恐らく、マイナス5度以上はあっただろう。
寒さのピークかもしれない2時半に、テントの撤収にかかる。
フライシートは凍り、グランドシートの下も凍っていた。
疲れと眠さと寒さで、感覚はよくわからん(笑)
自分がなんの作業をしているのか。
珈琲を沸かし、暖を取った。
アーモンドを口に入れたけど、口元がかじかんで居て、
口の中を噛んでしまっていた。が、しばらく気づかない。
寝不足。寒さ。真っ暗闇。この状態で、
17キロのザックを背負って、赤岳の頂上を日の出までに目指す。
頑張りが必要だな。
暖を取ったり、撤収に時間がかかり、
登り始めたのは4時頃になってしまった。
文三郎尾根を、ゆっくりと登り始める。
当然、真っ暗闇だ。
時折、振り返り。空を仰ぐ。
手が届きそうな位置に、天体ショーがある。
これで十分に頑張れるぐらいに美しい!
空がオレンジ色を帯びてきたので、
少しだけスピードを上げてみた。
息が上がり、汗もかく。
水を飲もうとハイドレーションを口にくわえる。
するとハイドレが凍っていて、水が吸えない。
ザックを降ろして、中からボトルを出すのが面倒なので、
頂上まで我慢することにした。
頂上に着いた時に拝んだ景色と、
出発前に汲んだ湧き水の、まさに冷水が、体と心に染み渡った。
テント前室に置いといたガスカートリッジの下は、
ご覧のように凍結していた。
この真っ暗闇を登っていきます。
ヘッド電気を装着し、いざ文三郎尾根を。
八ヶ岳の補強パーツはマムートの協賛だ。
がんばる徹平。あと少しで赤岳の頂上だ。
御来光には間に合わなかったけど、俺も一気にスパート。
頂上に出てみると、信じられないような景色。
音のない世界。雑念の無い世界だ。どこまでも澄んでいる。
自然と涙ぐんでしまうほどの美しさ。
これが見られただけで、来た甲斐がありました。
成層圏まで、淀みなく見えていると言う半端じゃない景色。
引きこまれて戻ってこれない俺。
北の峰々は冠雪。
槍の穂先まで、くっきりと見える。
赤岳の頂上にて。俺と徹平(Hi-5)
夏にはシゲ(KGSS ON THE PEAKS、cruyff in the bedroom)と来たな。
赤の三角点。
赤の神々。
全てがどうでもよくなるよ。こんなのを見せられたら。
アップにしてみても、剣ヶ峰まで見通せる。
空気の澄み方は寒いほうが断然にいい。
神秘の海に浮かぶ山々。神様は居る。
阿弥陀岳に映り込む影赤岳。
向こうには中央と北の稜線が並ぶ。
一路、下り。中岳へと。
中岳の頂上。お地蔵様越しの富士。
中岳の頂上。徹平越しの赤岳。
ザック越しの富士。
今回の相棒。バルトロ65だ。
俺は17キロ、徹平は13キロを背負う。
中岳を抜け、いざ阿弥陀岳へ。
阿弥陀の岩稜を前にしたら、ワクワクしてやばかったです。
こりゃハードな急登だ。三点確保で確実に登る。
登る!!!
気を付けつつ、楽しく。
そして時折、振り返り。来た道を見る。彼方を見る。
人生そのものだ。
阿弥陀岳の頂上。バックは赤岳。
阿弥陀の標越しの富士。
阿弥陀岳の頂上から。左に赤岳、右に富士。
阿弥陀の頂上でメシを食う。
ここで出会った、地元の登山家の大先輩と歓談する。
あまりに為になる八ヶ岳の話に目からウロコだった。
精進します。
阿弥陀岳の三角点と富士。
阿弥陀岳から美濃戸口までは、御小屋尾根で下りる事にした。
真ん中の、とがった摩利支天を越えて下りてきた。
右は阿弥陀の頂上だ。
下りのスピードが俺と徹平では違うので、
先行して下り、昼寝をして徹平を待つ。
こうやってみると、ほとんど行き倒れ状態だな。
ちなみにここは登山道の往来の真ん中(笑)人は1人しか通ってないけど。
こんな場所でウトウト出来るなんて最高だよ。
真昼間でも霜柱。
森林限界の高度から下りてくると、まだ紅葉が残っている。
揺れるススキの穂は輝いてる。
この二つはなんだろうね?凍ってるような硬さだったんだ。
御小屋尾根の途中にある、御小屋山。
下山後は温泉に直行。冷えた体を温める。
小淵沢の、延命の湯。
帰りの中央道、石狩PAにてメシ。暖かいドンブリに幸せを感じる。
この後の運転は強烈な睡魔との戦いだ。