蔵王連峰(ざおうれんぽう)

宮城県と山形県の両県南部の県境に位置。
主峰は、山形県側に位置する熊野岳(1,841m)、日本百名山。


登山バンド「KGSS ON THE PEAKS」は、
地方ツアーの翌日に、山に登ってから帰京する慣習がある(笑)
正直、この行程は鬼のようにハードだ。

ライブ後。夜中にホテルに戻り仮眠をし、6時にはホテルを出る。
登山を経て、高速運転で東京へと戻る。
そもそも、地方ライブの日は、あまり寝ていない状態で、
東京を出発しているしね。そこからの流れがこれだもの。
究極のSMバンドとも言えるだろう。

もはや修行だ。いや、場合によっては苦行だ。
クレイジーな我々は、この行程を心底楽しめている。異常だ。

営業部長のギター・シゲと、その部下のベース・塩井。
彼らは朝方までの酒席で抜群の営業力を発揮する(笑)

早朝のロビー集合にシゲは当然降りてこない(笑)
電話で起こして、顔面蒼白&寝ぼけている感じで現れるシゲ。
半分は昨日の格好、半分は登山の格好。変だ。キカイダー的なイメージ。
完全に酒が残った状態で山に連行される訳です。

車に乗り、シゲは目を閉じたまま、
半分ニヤけて、半分嬉しそうにウワゴトを言う。
「こんな行程おかしい。山って。。。」

そんな二人を、高笑いでいなす兄さん組(俺とタケシ)
ハンドルは一路、登山口へ。


蔵王連峰の熊野岳。
正直、車でほぼ山頂まで行けます。

もっときつい山を登っている俺らにしてみれば、
紅葉を楽しみつつ、お花見気分での山行のつもりだった。

車で山頂に向かっている途中の、紅葉の美しさたるや。
それはそれは桃源郷のような色彩感でした。
俺とタケシも、その美しさに魅了されて、
山頂にかかるガスも、そんなに気になっていなかったんだ。

だけど、登山口に着くと世界は違っていたね。
ガスは濃くて、視界は30mも無い。
歩いていて煽られるほどの強風で。風速10mは軽く越えてる印象だ。

でも、ここまで来た以上は、せめて最高峰には!
登山バンドたる所以。山頂にてバンド写真を撮ること。
ここ大事。


台風か?と思える強風は、体をどんどん冷やしていく。
山頂での体感温度は、マイナス5℃ぐらいな感じでした。
とにかく寒くて。動いても、温かいものを飲んでも冷え切ったまま。

馬の背なんかを歩くつもりだったけど、
道も見えないし、寒いしで、そのまま戻ることにしました。
KGSSとしては、初めてとなる「断念」だね。無念だ!(笑)

冷静に考えると、この状況に笑いが出る。
地方ライブの翌日の朝に、俺らは何をやってんだ?!って。
ドロドロの体調で、この苦行めいた状況(笑)


急ぎ下山し。温泉を目指す。
「遠刈田温泉」にて、冷え切った体を温めるつもりが。
温泉の温度が高すぎて、全員がのた打ち回る。
さっきまで冷えすぎて麻痺していたのに、今度は熱すぎて痛い。
肌的には、温度差の変化は50℃だ。ここでも苦行感あり。
何をやってんだ、俺らは(笑)

福島市が地元のベース塩井の、遠刈田温泉での、
若き日の甘酸っぱい想い出を聞く。
甘酸っぱいはずが、俺らから見ると、どう見ても、しょっぱい話だ(笑)


温泉を後にし、白石の名物「うーめん」を食べに行った。
あまりの癒しの味に、一気に体も気持ちも落ち着いていった。


さて、一路、東京へ!
東北よ、ありがとう。また来る日まで。