昨晩、BSで「SICKO(シッコ)」を放送していた。
マイケル・ムーア監督のドキュメンタリーです。
内容は、アメリカの健康保険に関して。

以前、このブログでも紹介した。エリック・シュローサー著の。
「ファストフードが世界を食いつくす」と言う本。
あまりに緻密な取材に基づいた、全てがノンフィクション。

俺は常に3冊ぐらいの本を、並行して読んでいます。
なので、実はまだ「ファストフード~」を読了していません....
たとえ、これ1冊を読んでいたとしても。
内容の凄さと情報量の多さに、読了までの時間を擁する事でしょう。

これは単に、アメリカのファストフード業界の話だけでなく。
アメリカ社会の表と裏、金、収賄、倫理、人種差別、犯罪....
まさに「アメリカ」の抱えるリアルが、綿密に書かれています。

これだけの内容を書いていながら。
あの訴訟大国において、訴訟が起こっていないのは。
内容が事実であることの証明です。


この本を読んでいる最中に。
マイケル・ムーア監督の「SICKO」も、重ねてしまった。

これらが全てだと、鵜呑みにはしないけど。
大きな事実が記されていることは、肝に銘じたい。

アメリカは。
・先進国で唯一、国民健康保険が無い国である。
・医療保険は民間の保険会社が担う。
・国民の6人に1人が無保険です。
(毎年2万人近くが、何の治療も受けられずに死んでいきます)

被保険者が。
病気や怪我により保険金を請求する。これは当然ですよね。
でも、保険会社の専属医たちは、その高い専門知識を用いて。
何だかんだと理由をつけ、払わない方向に持っていく。
保険金を払わずに済んだら、会社からは報奨金を貰える。

これは、アメリカに限らず。
おそらく日本の保険会社も、近いノリがあるような気がします。
利益を上げなければならない、会社としては当然だとも思う。
慈善事業で、保険会社をやってる訳じゃないと思うしね。
ただ、扱う商品が、人の生死の狭間だけに凄くシビアです。

「医者が、医療から患者を遠ざける事で利益が上がる」


あまりに逆転の発想すぎて、言葉を失います。
医者は、患者を医療にもっと近寄らせて、その報酬を得る。
これがモラルですよね...

カナダ、イギリス、フランスの医療は。
国が全額をカバーするシステム。
アメリカの仮想敵国であるキューバもそう。

「9・11」で救命作業に参加して健康を外した救命士たち。
もちろん、保険会社は難癖を付けて保険を払わない。
彼らは、仮想敵国であるキューバにて無償の医療を体験し、
自国への懐疑を深める。

いったい、何が「仮想敵国」なのか?
いったい、誰が敵なのか?
そもそも、敵ってなんだ?

このような。
キューバの医療を通じた、国際的人道支援活動や。
キューバ国内の先進的な医療が、今や世界的な注目を浴びています。

ここにも。
キューバの革命家チェ・ゲバラの軌跡が見えます。


国民皆保険の日本。
昨今の医療費削減や、介護医療の民間への丸投げ。
国民健康保険料が払えない高齢者の増加...

アメリカ追随型の日本の医療制度は。
今後どこに向かって行くのでしょうか?