さて、今日は、ちょっとむずかしいはなし。
改めて、日本とドイツの違いを感じたことなんだけれども。

ホルガーさん、訴えられてます。

ドイツ人白か黒かじゃないと気が済まないの?

というのも、クリスマス前に社員のコックさんが「辞職」したんだけれども、「辞職じゃなくて、辞職するように企てられた」的に訴えてるんだとさ。

雇用主の一番の悩みの種は、お金の管理もそうだけれど、従業員管理よね。
昔から聞いてた話しだけれど、ドイツは失業者とか弱い物にすごくやさしい国だから、雇用主が従業員を解雇するのはすご~~~く大変だって。だから、社員として雇うのはすごく勇気がいるんだとさ。なんかあった時に、あっさりと解雇できないから。

さて、うちのケースだけれども…
勤務態度がよくなくて、夜勤手当がつく時間帯になって、仕事がやりたくなっちゃうコックさん。
開店の1時間前からしか働きたくないって言うコックさん。
食材探し、買い物は行きたくないコックさん。
5、6時間ぐらいしか働かないけど、ドイツの管理職並みの給料が欲しいコックさん。
(ドイツの場合は、給料レベルがあって、いくら長期勤務しても、修行経歴、資格、学歴がないと昇給なんて無理なのに。)

このコックさん、前のオーナーの時から働いてるコックさんで、ホルガーが選んだ訳じゃないからしょうがないけど、解雇はできないし、どうにか辞めないかな~と以前から悩んでて。というのも、雇い主が従業員が解雇する場合、解雇通知から実際に辞めてもらうまで予告期間って言うのがあるんだとさ。家のコックさんは6年勤務してて契約上、解雇予告期間6ヶ月。ってことで、解雇するなら6ヶ月前に伝えておかないといけないんだと。でも、良くアルはなしは、雇い主が「やめてね」と言ったその後の6ヶ月間(実際に辞めるまで)、この従業員がちゃんと働いてくれるかって言うと、そんな訳ないのよ。「やめてね」と言われた次の日、「けがした」「病気」なんて言って、病院に診断書を書いてもらって、自宅療法、入院要、なんてことで、まだ従業員だけど実際に勤務してない従業員に保険代、給料を支払わなきゃ行けないって。

こんなことにならないように、解雇じゃなくて、辞職してもらおうって。

ホルガーが店長になってからは、夜勤手当がつく時間帯になってから、次の日の仕込みを始めるんじゃなくて、仕込みはその日の開店数時間前から始めて欲しいと話し合いを。なかなか納得してくれず、「給料をあげてくれ」ばかり。「明日は○時に出勤して準備ね」と話しても、時間通りに出勤せず。ということで、警告状を渡しました。「○時に勤務してと言ったのに、来てくれませんでした。次回は気をつけてください。」的なことが書かれたのを書面にして、勤務態度が怠っていたことを証拠とするため、こういうこが事実あったってことを証拠と残すため、ホルガーとコックさんが署名して。解雇する場合は、こういう警告状的な物を3、4回出さないと行けないんだとか。

でも、なんとしても辞職してほしい。
クリスマスの1週間前になって、違う仕事を探そうと思うと。彼から。
ホルガーは、そのタイミングで、ハローワークと求職宣伝を出し、面接をこなし。
というのも、急に辞められて、コックなしなんてことになったら困るから、それに備えて。
スペインの5つ星ホテルで働いてたやっといいコックを見つけたけれど、事情を話して、古いコックが辞職するまで勤務開始をまってもらうことに。

と、思っていたある日、といっても、クリスマスイブイブ。
「明日から腰が痛いから仕事に行かない」と。
一番忙しい日になんてことだよ!とも思ったけど、速攻待機してたコックに連絡して、急遽キッチンに入ってもらい。ちょっと、パニックに陥ったものの、結果的に辞職してくれたし、腕が良く、テキパキのコックだから、いい調子にニュースタート。

1月に入ってからは、メニューをすべて新しくするってことで、コックとホルガーで試行錯誤を練って、企画を立ててたのに、ある日ポストに裁判召喚状。

古いコックが裁判の申し出をしてます。
自分から辞めた場合は、失業保険の支給が少し遅れる上に、社会保険、健康保険は100%自払なのだけれど、これによって、「自分は辞職じゃなくて、辞職を企てられた」的に訴えてるとか。

ドイツは、弱いもの&失業者にすごく優しいからね。
ハーツフィア(失業保険受給者)が多いってみんなが嘆いてるんだけれど、確かに、失業保険をもらってる方がいい暮らししてたりもするからね。一度もらって生活し始めたらら働くのが馬鹿らしく思えるのかも。ってことで、働いてる人はかなりカンカンなわけ。

でも、「辞職」なのは確か!
こんなこともあろうかと、辞めるって始まった時から、話し合いには必ず第三者に同席してもらって、同席したこと話しの内容を書面にしてサインしてもらってたし、いつ、どこで、どんな話ししてたかもすべてメモってたし。ホルガーも弁護士を早速雇って、ミーティング。

ただ、ドイツは、弱いものにとても優しい国。
多くのケースで雇い主は結構不利な立場だけれど、どうにかこうにか勝てればいいけど…。
来月の裁判までは、心配が重なったままで、どこまで痩せちゃうのやら…。

こんなお金にも何の得にもならない余計な仕事!!!!!
が増えてしまって、最近はホルガーが弁護士さんや従業員さんとのミーティングが増えてしまい、私が手伝わなきゃいけないことも増えてしまい。家では、請求書作成、勤務時間を整理したり。今日は、お店がずっと満席な上、ケータリングも頼まれてて、バイトちゃんがノロウィルスでお休みするって2時間前に電話して来たので、急遽お店のキッチンに呼ばれ。お店が落ち着いて来た頃見計らって、家に戻ってルナを寝かせて…。狂うようにストレスフルで忙しく、私もホルガーも半分死顔の一日でした。

ドイツの解雇、失業について詳しく書かれてるサイトみっけた~(→ここ