2020年12月上旬、Clover出版より私の著書「静寂なほど人生は美しい」-弱視の音楽療法士が伝える「聞こえない音の世界」- が出版されます。

アントロポゾフィーやシュタイナー音楽療法、ライアーや音によるヒーリングにご興味をお持ちの方には特に、ご一読いただけたら嬉しい一冊です。アントロポゾフィー音楽療法士として、ライアー奏者として、お伝えしたいことをすべて書きました!

アマゾンからご予約可能です↓↓↓

 

 

 「いつか、アントロポゾフィー音楽療法についての本を書こう」

12年前に帰国した時から、そう思っていました。

まずは日本で経験を積んで、それから書こう、と。

 

2018年春、アウディオペーデのパイオニアクラス(アントロポゾフィー音楽療法士養成クラス)の一期生と二期生、計13人がゲーテアヌム医学部門認定音楽療法士の資格取得を達成しました。それを機に、私は講師を引退しました。日本で学び、実習をし、資格を取得した彼女たちは、それぞれの場所で実践に励んでくれています。

 

当時、私はなかなか回復しないうつ病に苦しんでいました。

2018年7月、入院中の病室で、ふと思い立ってペンを執りました。

書きたいことをノートに書き始めると、あとからあとから、出てきました。

ドイツで学んだこと。

日本の受講生たちに、伝えられたこと。伝えられなかったこと。

アントロポゾフィー音楽療法の、一番大切なメッセージ。

 

「聞こえない音」が存在するということ。

「聞こえない音」が果たしている、大きな役割。

それを知らなければ、音楽療法も、他のどんなことも、うまくいかない。

目に見える世界の後ろにある、目に見えない世界。精神界。

本当の「価値」はそこにあることを認識しなければ、

日本社会に未来はない。

 

芸術の価値が認められ、芸術が必要とされる時代がやって来るように。

音楽療法士が音楽療法の価値を知ってもらおうと頑張るのではなく、

音楽療法が必要とされる社会が実現しなくてはならない。

人々が、芸術と、芸術による治癒を切に求める、健康な社会が。

そのために、たくさんの人たちに、これを伝えたい。

 

「本を書きたい」という気持ちを抱いて退院し、いろいろと調べている時、

Clover出版という会社が新人発掘オーディションの参加者を募集していることを知りました。

本を出版するなら、自費出版やシュタイナー専門の出版社にお願いするのではなく、

あえて、アントロポゾフィーとも音楽療法とも関係のない出版社から出したいと、

私は願っていました。

 

ある思想やメソッドを学び、それを一人で抱えているだけでは、

いつまで経っても机上の空論です。

メソッドは、その土地の風土や文化、言語、そして時代に合わせて、

姿を変えながら、実践されてゆく時、初めて生命を得ます。

 

アントロポゾフィー音楽療法の講義をする時、

あるいは、ドイツ人の先生の講義の通訳をする時、

私の目の前にはいつも、一生懸命にノートを取り、学ぶ受講者の姿がありました。

「先生」の言うことにひたすら従う、謙虚でまじめな日本人。

それを見る度に、私は悲しくなりました。

 

私たち講師が伝えようとしているのは音楽療法の「やり方」ではなく、

一人の人間として自分の意見を持ち、誰にも屈することなく、

堂々と自由に生きる道の、尊さだったからです。

本来、音楽とは、そこから生まれてくるのもだから……

 

絶対に、「先生」というの座布団の上にあぐらをかいてはいけない。

 

帰国後、あちらこちらで講義をする度に、私は切にこう思いました。

一度、居心地の良い場所であぐらをかいてしまえば、

私は自分が伝えようとしていることと正反対のことを、することになる。

このメソッドを本当に社会のために役立てようとするならば、

何の肩書も持たない一人の人間として世の中に出てゆき、

「アントロポゾフィー」や「音楽療法」という名前すら捨てる覚悟が必要だと。

 

ずっと背中を見つめて歩いて来た、一人の先輩がいました。

一緒に音楽療法士養成クラス立ち上げ、12年間協力し合ってきた友です。

私より40才以上も年上の彼女は、

元々、アントロポゾフィーも音楽療法も知らなかった一人の医師とともに、

各地の病院で音楽療法を実践し、職員のための講座を開催していました。

 

人と人が出会うことは、二つの未知の世界が出会うことです。

時には、誤解や意見のぶつかり合いがあったとしても、

二つの世界が出会う時、それは大きな可能性を秘めた宇宙になります。

 

驚いたことに、私はClover出版のオーディションの二次審査を通過しました。

10月に最終審査であるプレゼンテーションがありました。

当日、17人ほどいらしたように記憶しています。

「選ばれるのはこの中で1人かぁ。

まぁ、もし今、私が本を書くべき時ならば、選んでいただけるだろう。」

という、どこか他人事のような感覚で臨みました。

 

審査員の方々、特に編集長の小田さんが私に目を止めて下さり、

グランプリ賞に選んでくださいました。

これが、小田編集長との、まるで夢のような共同作業の始まりでした。

Clover出版の小田実紀編集長は、何冊ものベストセラーを世に出して来られた凄腕です。

 

一般的に出版社が本を出す時、著者の役目は、原稿を書くことだけです。

本の題名やデザイン、紹介文等は、すべて出版社が決めます。

もちろん、著者と編集者の間で、多少の打ち合わせはあるでしょう。

しかし、お互いに、かなりの「割り切り」が必要だと聞きます。

 

一方で、Clover出版の小田編集長は、「著者と二人三脚の本作り」をしてくださいます。

何しろ私にとって、本の原稿を書くなんて、初めてのこと。

そんな私が伝えたいことを、魔法のように読み取って、理解し、

内容や構成の提案をしてくださいました。

ですから、私は何の苦労もなく、原稿を書くことができました。

 

大変だったのは、小田編集長の方です。

何しろ、ハウツー本にも、スピリチュアル系にも、学術書にも、エッセイにも、

自伝にも当てはまらず、それでいて、そのすべての要素を含み、

また、どことなく詩集のようでもある、私の原稿を、

書店に出せる一冊の本に仕上げなくてはならなかったのですから……

その難しさたるや、出版のことを何も知らない私が想像しても、

頭が痛くなります(笑)。

 

題名と帯のキャッチコピーに至っては、夜中の12時まで悩んでくださったようで、

朝、パソコンを開いたら、0時30分にメッセージが届いていました!

私は何も知らずに寝ていたというのに……(汗)

「人生は静寂なほど美しい」と付けて下さった題名。

私の一ひねり(!)を聞いていただき、「静寂なほど人生は美しい」

に決まりました。

 

もう一人、この本のために力を振り絞ってくれた人がいます。

韓国の写真家の友人、ヴォルフィくんです。

小田編集長が、ページの所々に写真を入れるという提案をしてくださった時、

ヴォルフィのことがすぐに頭に浮かびました。

彼が撮る写真には、被写体の「息吹」が感じられるのです。

 

本文に使う写真だけでなく、表紙のプロフィール写真も、

ヴォルフィが撮ってくれました。

自然な笑顔の美しい一枚を撮るためにかかった時間、4時間。

8月の暑い午後、ソウル、漢江の岸にある公園で汗だくになって頑張ってくれました。

被写体の私は、楽しい遠足気分でしたが……(すみません 笑)

 

この本はきっと、読者の皆さんの心に、安らかな静けさを届けることでしょう。

文章は絶妙なタイミングで段落分けされ、

時々、一行だけ文字が大きくなり、

所々に、これまた絶妙なタイミングで、草花や風景の写真が現れます。

 

この本自体が、まさに、「耳には聞こえない音楽」のようです。

完成した本を手に取った時、

小田編集長は、著者の私よりも深く、

「聞こえない音の世界」を理解してくれたのではないかと思うほどの、

感動が走りました。

 

これは、たくさんの方々のお力添えによって世に生まれた、最高に幸せな本です💛