映画「ロケットマン」レビュー
★★
音楽にはパワーがある。彼の作った音楽自体には。そして皆がそう思うように演者の演技と歌声は魅力溢れる見応えあるものだった。だけどストーリーはとにかく全体的に暗い、、、と序盤挫折しそうになってしまった。
彼がステージで必要以上の煌びやかでド派手なコスチュームに身を包んでいた理由。
彼の心を隠し守るための鎧だ。
孤独との孤独なる闘い、それが彼の半生の根底にあるわけだけれど、とにかく観ていて胸が苦しくなるし、私は涙が止まらなくなってしまった。
彼は事実今現在生きている。それに素晴らしい名声とパーソナルな幸せも手にしている。それなのに、この映画を見た後の胸のつかえのような、黒い塊のようなものは、と今でも観たことを少々後悔している。
それはおそらく、この映画が主に彼が崩れていった様をストーリーにしているためで、「彼がどう再起したか、どう真の幸せを手に入れたか」は更生施設でのディスカッションのみで済ましているためだと思う。(事実ではあろうがアメリカの映画やドラマにはあまりにも頻繁に登場するディスカッションのシーンと全く同じだ。)だから、観ているこちらはその再起への道のりに救いを見出せず、ライブをキャンセルしたあのどん底からいつのまにか這い上がっていたストーリーに着いて行けなくなったのではないだろうか。
この映画に何を求めていたか、それにもよるかもしれないけれど、少なくとも私は読後感の悪い小説を読んだ、みたいな気持ちで映画館を出たし、彼の音楽を耳にした時に純粋に私を鼓舞してくれる気持ちになるかどうかさえ不安だ。
流したくない涙が勝手に流れて止まらなかった。