『まほろ駅前多田便利軒』Blu-ray BOX レビュー:瑛太と松田龍平が織りなす、不器用な男たちの優しい物語

『まほろ駅前多田便利軒』のBlu-ray BOXをようやく手に入れた。永山瑛太と松田龍平、この二人が並ぶだけで既に絵になる。発売は2011年、映画公開と同じ年だ。2枚組のこのBOXは、何度でも繰り返し観たくなる、大切な作品だ。

監督は大森立嗣。三浦紫苑の原作を基に、どこか時間の流れが緩やかな真幌市を舞台に、便利屋を営む多田啓介(瑛太)と、そこに転がり込む高校時代の同級生・行天春彦(松田龍平)の日常を描く。

最初に観た時の印象は、「なんだこの空気感は」というものだった。ボソボソと交わされる言葉、行天のあの独特な走る姿、たまに挟まれる脱力系の笑い。でも、観終わった後には、じんわりと温かいものが心に残る。多田は過去の失敗や喪失を引きずりながらも、便利屋として誰かの役に立つことで日々をつないでいる。そんな彼の前に現れた行天は、まるで野生の猫のように気ままで、でもどこか淋しげだ。

この作品の魅力は、何と言っても瑛太と松田龍平の絶妙な掛け合いだろう。多田の真面目でちょっと損な性格と、行天の掴みどころがないのに時々核心をつく言動。二人でいることが当たり前になっていく過程が、本当に自然に描かれている。特に、行天が多田の温かさに少しずつ心を開いていく様子は、胸がぎゅっとなる。

印象に残っているのは、小さな女の子を預かるエピソードだ。不器用なりに子供と向き合う二人の姿に、思わず笑顔になる。ああ、この二人は、誰かを幸せにできるんだな、と。それと同時に、それぞれが抱える孤独や傷も、そっと差し出される。

この作品は、数々の賞に輝いている。第26回高崎映画祭では最優秀主演男優賞を瑛太と松田龍平の二人が受賞。さらに、第85回キネマ旬報ベスト・テンでは日本映画第4位に選出されている。こうした評価もうなずける、日本の映画史に残る名作だ。

特典ディスクにはメイキングや舞台挨拶も収録されていて、ファンにはたまらない内容だ。本編の世界観をさらに深く楽しめる。

このBlu-ray BOXは、ただの映像作品ではない。何度も観返すたびに、新たな発見があり、登場人物たちがまるで自分の知り合いのように感じられる、そんな宝物だ。疲れた時に、そっと手に取りたくなる。不器用だけれども、確かにそこにある温かさに、また触れたくなるのだ。