この季節になると我が家では

待ちに待った夏休みへのカウントダウンが

始まります。

 

それと同時に6月は

学校の卒業シーズンでもあります。

 

思い起こせば長女の卒園式では

人目はばからず大泣きしていたのは

私一人だけでした。

 

エルガーの威風堂々が流れる会場に

子供達が入場して来た途端に、

つい感極まり涙がこぼれ落ちました。

(威風堂々はイギリスの第2の国歌とも

いうべき国民的愛唱歌)

 

一緒にいた夫は急に泣き出す私に驚いて

「どうしたの大丈夫?!」と。

 

そうなんです、

フランス人の夫にはこの

お式の文化を重んじる日本人の心が

あまり良く理解できなかったのです。

 

「悲しいから泣いてるんじゃないの、

嬉しくて泣いてるの」

と言っても、

 

え?!どう言うこと?

今日は喜ぶべき日なんじゃないの?

と言うリアクションなんですよ。

 

 

確かにフランスは

結婚式をスキップして家族を持つのが

ごく普通の社会。

そして学校の学年末や新学期も

特別な式は行われないのです。

 

 

と言うかむしろ、

日本の式文化を重んじる心は

世界的に見ても稀な精神なんですよね。

 

 

今日も次女の

学年末パフォーマンスがありましたが

歌を歌って、

主要科目の作品のお披露目などで

生徒一人一人にスポットを当てるような

「式」ではありませんでした。

 

パフォーマンスが行われたホールで

忙しそうにイベントを仕切る先生方を

見つめながら、

この一年を振り返り

壮大な思いを密かに心の中で

巡らせていたのは、

他でもなく私一人だけだったはずです。

 

卒業式を始め、

”納める事”を重要視されない文化圏では

学年末の試験が終わるやいなや

勝手に前倒しでホリデーに入ってしまう

生徒の多さに驚きます。

 

これはドバイに暮らすようになってから

知った事実ですが、

 

お式の文化がない国では

物事の終わりがダラダラしていて

気持ちに区切りがつけにくいこと。

 

もっと細かいことを言うと

人への感謝や別れの挨拶、

一期一会のような感覚も

やはり育ちにくい環境です。

 

日本では普通に暮らしているだけで

そう言う精神は育まれますが

海外の子育ての苦労は

本当に多岐に渡ります。

 

そして、

どの国に暮らしていても

やはり日本のお式に馳せる

人々の思いは格別なもの。

 

それと同時に、

国民の民度の高さを最も分かりやすく

表しているのも、

この式を重んじる精神の中に

存在している様に思います。

 

寂しさ、切なさ、

名残惜しさ。

これらの感情の中に

”美しさ”を添えられる日本の文化は

無形の国宝と言っても過言ではありません。

 

外国のドライであっさりした

人付き合いや文化も

もちろん好きですが、

時には後悔を残したり

湿った気持ちで自問自答する時間があって

いいんじゃない?

なんて思ったりしています。

 

嬉しいけど切ない。

この感覚は毎年の事なのですが

周りに理解されにくい感情なゆえ、

こうしてブログで共有させて頂いた次第です。

 

素敵な週末を

 

グレイス