数年前、

私達がアブダビに暮らしている頃

夫の職場にシリア人と

パレスチナ人の同僚がいました。

 

彼らとは一度だけ

バーベキューを一緒にしたのですが

「本当にシリア人って

従順によく働くな」というイメージが

バーベーキューの準備を見ているだけでも

伝わるほどでした。

 

 

イスラム教徒のおもてなしは

非常にチャリティー精神に満ちたもので

お給料が低いから材料を折半しようとか

そんな考えはあまりないようでした。

 

これもきっと、

より良い来世に繋ぐための行いなのでしょう。

 

 

実はこの写真に写っている

シリア人の一人が

この数ヶ月後に難民として

ドイツに向かうことになったのですが

本日はそのことについて

少しお話ししようと思います。

 

 

さて、難民と聞くと日本では現在

川口のクルド人が問題になっていますが、

おそらく

我々日本人が思い描いている難民の

入国方法とは全く違ったやり方で、

彼らは(夫の元同僚)国境を超えて

ヨーロッパまで渡っています。

 

詳しい移動方法は説明できませんが、

 

彼らの場合はまず

アブダビからトルコに入国して

その後は身一つで海を泳いで、

トルコから一番近いヨーロッパの

小さな島まで行きます。

 

その島は欧州圏内のため

そこからドイツまでは

電車やバスなどを乗り継ぎ

何日かかけてやっと難民として

入国するという方法のようです。

 

ですから、

彼らのような難民申請をする人間は

飛行機に乗って

どこからかやって来るような

お金持ちの不法滞在者とは

わけが違うのです。

 

私のイエメン人の友人もそうですが、

シリア、パレスチナ出身の人々は

自国のパスポートを持って

母国に帰るという、

ごくあたり前の事が叶わない人達です。

 

難民としてドイツに入国した後、

彼らは一体どんな暮らしをしているのか?

今朝夫に尋ねてみたところ、

二人とも今ではドイツ語を話し、

ドイツで起業をして

生計を立てているとのこと。

 

 

と、ここのままハッピーエンドで

記事を終わらせたいのですが、

ここで一つはっきりさせておかなければ

いけないことがあります。

 

それは、

難民と一言でいっても

2種類の難民が存在していて、

 

一つ目は

長期的な内戦で国を追われた結果

難民として生きる選択肢しかなかった人達。

 

二つ目は

違法就労目的で

難民と称して計画的に入国している人達。

 

同じ移民でも

根底に抱えている事情や目的が

それぞれ全く違うので、

これをどう水際で防いでいくのか?

 

ルール作りの初歩を誤ると

止めどなく外国人が

流れ込んでくる可能性があるので

移民問題については、

日本もこれからは

他人事ではなくなりそうです。

 

 

岸田総理がお考えの

「外国人との共生」は

きっとUAEをモデルに

話されていると思うのですが、

 

実際ドバイやアブダビでは

多くの移民が低賃金で働いていて

国の経済発展の調整弁に使われる

人間の人権は、

基本的に無視されています。

 

ある一定期間、

経済発展の調整弁として

数年働いて頂いて

その間、家族帯同ビザは発行せずに

期間が終わったら

母国に帰ってもらう。

 

あくまでも

「自国民ファースト」

「自国の経済発展ファースト」

 

冷酷ですが

このやり方が基本のようです。

 

 

時々ドバイのキラキラした

ラグジュアリーライフを

SNSで自ら見せている人がいますが

そんな人達ですら

結局はUAEの経済発展における

単なる調整弁の一部でしかないのですから

あまり間に受けない方がいいですよ。

多分本人にはそんな意識(調整弁)は

ないと思いますが。

 

 

 

 

 

人間の平等は

どこにでもあるようで

本当はどこにもない。

 

マイノリティの主張も

必要なんですが、

ただそれは平和な暮らしの基盤が

既にある人がしている行為ですね。

 

明日の食べ物、

明日の命のことをまずは第一に考えなければ

いけない人は

世の中にたくさんいるのだと。

 

命をかけてドイツに渡った

シリア人とパレスチナ人の

知り合いを思うと

ただただ彼らの身の安全と

幸せを願うばかりです。

 

無関心ではいられない

移民問題と

国の防衛について。

 

何か気付きのきっかけになれば

嬉しく思います。

 

 

グレイス