sakoのブログ

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自給率100%のコメが品薄になった不都合な真実


7月下旬、東京都内のスーパーのコメ売り場に掲示された購入制限を知らせる張り紙(写真:時事)


この夏、コメの品薄が続いている。価格は急騰し、地域によってはコメの購入制限を呼びかけるスーパーもある。


だが、ちょっと待ってほしい。農林水産省はこれまで「コメの自給率はほぼ100%」とアピールし続けてきた。それが一転、なぜこんな事態になってしまったのか。「令和の米騒動」の現状を検証する。


半径3キロ圏内のスーパーで販売状況はまちまち

8月上旬、今や有数の米どころとなった北海道を訪れると、スーパーやドラッグストアには、「ゆめぴかり」や「ななつぼし」、「ふっくりんこ」などの地元のコメが棚にごく普通に並んでいた。メディアで伝えられている品不足が嘘のようだ。


8月中旬に東京に戻り、自宅周辺のスーパーを数件のぞいてみると、状況はまちまちだった。


格安系の大手スーパーは在庫ゼロ、首都圏中心に展開する中堅スーパーは5キロは売り切れで、2キロの商品があるのみ。1人につき2点の制限もあった。


一方、商社系の大手スーパーも在庫切れ。店員さんに状況を聞くと「昨日は福岡のコメが入ったのですが、すぐに売れてしまいました。今後は未定です」とのこと。そして最後に回った生協は通常通りの販売だった。


半径3キロエリアの圏内にあるスーパーで、これだけ状況が違うのだから、どこで購入すればお得か、調べてみるのもいいだろう。


こうした違いについて、流通関係者に聞くと、「ほとんどが年間契約ですが、在庫が厳しくなるとスポットで手当てをします。そうなると平時の取引状況が影響してきます。卸の言い分を聞いてあげているところ、融通を利かせているところはほぼ通常通りの取り引きができていますが、日頃、厳しい条件を突き付けているところは、品薄になると優先度が後回しにされてしまいます」と解説してくれた。


それにしても、今回の「米騒動」はなぜ起きたのか。この春から多くの米穀店が仕入れに苦労するような状況になっていたが、異変が顕著になったのは7月中旬だ。


農林水産省が発表した6月のコメの「相対取引価格」において、2023年産米の全銘柄平均は玄米60キログラム当たり1万5865円の高値をつけたのだ。


2012年産米が1万6127円をつけた2013年8月以来、約11年ぶりの高値水準となった。ちなみに2022年産米(2023年7月)は1万3840円だった。今年は昨年同時期に比べ11.3%の上昇となっている。


この状況は7月に入っても継続している。7月の全銘柄平均は1万5626円と前月よりわずかに下がっただけで、相変わらずの高値水準にある。



コメ価格が急騰した4つの原因

今回の米騒動で指摘されている原因は主に次の4点だ。


①昨年夏の猛暑による高温・渇水被害により、米どころの新潟などで一等米の比率が低くなり、精米された商品が少なかった


②ロシアのウクライナ侵攻、原油高以降の食品の値上げラッシュの中で、すぐに値上げに向かわなかったコメへの需要高まり


③外国人観光客の激増による需要増


④南海トラフ関連情報など直近の地震多発による消費者の買いだめ


農林水産省の最新の需要動向(2023/2024年)によると、前年の691万トンから11万トン多い702万トン(速報値)となった。これまで毎年約10万トンペースで減少してきていたから、大きな変化だ。


総務省の家計調査でもコメ消費の高まりが明らかになっている。2023年1年間のコメの販売数量(2人以上の世帯)は56.65キログラムで前年比98.7%だったが、2024年になると1-6月の販売数量は25.81キログラムで前年同期比102.4%と増加基調にある。パン類は前年同期比101.2%、麺類は同99.1%だからコメ回帰がうかがえる。


さらに供給面にも目を向けると、農家の作付け意欲の低下という要因が浮かび上がる。主食用米の作付け状況を見ると、2017年度に137.0万ヘクタールあったのが2023年度は124.2万ヘクタールにまで1割減少している。高齢化、後継者難の問題も大きいが、農林水産省の政策の影響も無視できない。


国策により作付けが増えない

「農林水産省は2024年度予算で水田を活用して麦、大豆、飼料作物、WCS用稲、飼料用米、米粉用米を生産する農業者支援のため3015億円を計上しています。


かつて需要減から減反政策をとってきたのですが、最近は新市場開拓用米(輸出用米等)など従来の米作りからの転換を促す政策に変わってきているかのようです。このため、作付け意欲を見ても主食用米では前年より増加は16県にとどまっていますが、加工用米は20県、新市場開拓用米は29県、米粉用米は19県といずれも主食用米を上回っています。


この秋の作柄次第ではありますが、この秋から来年にかけても主食用米が十分に行き渡らない状況が出てきてもおかしくはありません」(農政関係者)


実際、この先のコメの需給バランス、価格動向について流通関係者はどう見ているのか。毎年、年間契約で必要な数量を確保してきているという中堅スーパーの担当者に話を聞いた。


「例年8月1日から九州、西日本の早場米が入荷してきて、9月になれば新潟の新米も入ってくるので、需給の逼迫は多少緩和すると見ています。ただ価格については大きく下がることはないでしょう。作柄の影響などで今後、主食用米が十分に出回らないと高値水準が続く可能性はあると見ています」


早場米で流通量の多い、宮崎産コシヒカリの農協買い取り価格は、前年比で6%ほど高くなっているという。ネット上には「5キロ3726円〜(税込み)」といった表示も見られる。


農林水産省の担当者にも今後の需給見通しについて見解を求めた。公式的には9月下旬に発表する作柄指数をもとに判断するとしている。ただし、関東や北陸などの産地からの情報では「今のところ生育は順調」との情報が入っていて、高温で生育が進んでいる地域では出荷も早まっているという。ただ今後の台風や異常気象による作柄、収穫への影響も考慮しておかなければならないだろう。


はっきりしたのは、「自給率ほぼ100%」のコメといえども、天候や消費者の行動パターン次第で、品薄・価格急騰に転じてしまうということだ。


農家の絶対数が減っていく中で、残った生産者が主食用米より補助金が出る新市場開拓用米などにシフトしていけば、コメ不足はいつ再燃してもおかしくない。コメの安定供給を望みたいのであれば、消費者としても農政のあり方に無関心でいてはダメということだ。


ブランド米信仰の弊害も

さらに、ブランド米信仰を見直す必要もあるだろう。猛暑で一等米の比率が下がっただけでこの騒ぎになってしまった。


ネット上では以下のような声が寄せられていた。


〈コメの等級や品種の違いによる味の差は、一般の方にはわかりづらいもの。等級が低いからといって味が劣るわけではない。等級にこだわるよりも炊きたてを食べることが大切〉


〈あまりにも等級を細かくした結果、一等級以外は二束三文になって、農家の取り分が減ってしまった〉


〈コメは国民の命綱。耕作放棄地の増加、従事者の高齢化、おざなりになっていないか〉


「令和の米騒動」は食と安全、食と生活、日本の農政を改めて考え直すいいきっかけになったのかもしれない。


(山田 稔:ジャーナリスト)


https://news.livedoor.com/article/detail/27040699/


お米は大丈夫という観念を

きちんと考え直す機会になりましたね。






最初の頃の予想よりも西になりました。

室戸に上陸???