オリエント タッチトロン LED表示 クオーツ時計

 

この時計は発売当時、ケースのベゼル部分を指で触れるとLEDで時刻を表示する画期的なものでした。

なぜ、このようなものがすぐに市場から消えてしまったのでしょうか?

実はこの時計には重大な欠点と言うか、不良品扱いされて、時計では珍しくメーカーが大規模なリコールのように何度もケースを改良しても結局直らずに消費者から相手にされないまま終了してしまったのです。

 

通常は表示されません。

 

 

 

ベゼルに触れて時刻表示をしている状態。

 

もちろんバンドも純正です。

原因は汗でした。腕に着けていて汗をかいてしまうとケースの胴の部分とベゼルの部分がゴムによって絶縁してあるのですが、汗でその部分が導通して表示し続ける為に消費電流が大きいのですぐに電池が切れてしまうのです。

LEDは半永久的に持つものですが、欠点は消費電流が大きいことです。それで説明書には、1日20回表示させて1年以上電池が持つと書いてあります。しかし、残念ながら失敗でした。メーカーのテストでは汗のことを考慮しないまま開発されたようです。

ボタンを押してLED表示させる時計は今もありますが、この時計のようにタッチするだけで表示する時計は未だにありません。

次第に液晶の性能が良くなってLEDの出る幕はありませんでした。液晶のデジタル時計も初めの頃は何年液晶板が持つか寿命がわかりませんでした。当初は5年位だと思われていましたが、15年以上持つものも少なくなく、結局液晶になってしまいました。

この時計も、何度メーカー修理しても直らずお客さんが怒って受け取らなかったものです。もう53年くらい前でしょうか。

この時計で時計屋は恥をかいてしまいました。オリエント時計株式会社も忘れてしまいたい時計でしょう。唯一の汚点ですから。

50年振りに電池を入れてみましたら、なんと正常に動きました。当然汗には弱いので気をつけて使用しなければなりません。

 

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