『特定周波数微弱電流』療法という治療法
➀[黄斑変性症(おうはんへんせいしょう)]
「特定周波数微弱電流(以下FSM)」療法
という、あたらしい治療法があります(※)。
これは2種類の微弱な電流を用いる方法で、
米国を中心に近年普及しているものです。
これを[加齢黄斑変性症]という
眼の病気に適用し、
視力の改善が(統計的な有意性をもって)
確認されたことが、2015年の
医学雑誌[Clinical Ophthalmology]に
報告されています:1)。
『加齢黄斑変性症』とは、
加齢などの原因によって、
網膜の中心部の[黄斑部]に障害がおこり、
視野がゆがむ、中心が黒く抜けるなどの
症状がおこる眼疾患です。
近年、国内でも著しく増加していて、
失明原因の第4位となっています。
(中心部のゆがみ)
(中心部のゆがみと暗点)
《日本眼科学会HPより引用》
この病気には、
[滲出型]と[萎縮型]という
2タイプがありますが、
患者さんの大多数を占める「萎縮型」には、
現在のところ有効な治療法がありません。
この報告では、
○「萎縮型」で、
有意に視力が改善(P=0.012)
改善はしばしばかなり大きく、
悪化は非常にわずかで、
○「滲出型」では、
統計的有意性に達しなかった(P=0.059)が、
6人中5人(83%)で視力が改善し、
低下を示したかたはいませんでした。
〔報告内容の詳細は後述〕
「萎縮型」には、
有効な治療方法がなく、
禁煙指導、サプリメントや食事療法で
視力悪化をとどめられれば、という現状で
視力の改善が得られているのは
すごいことだと思います。
当院で施行したかたは、
・羞明(まぶしさ)10→3
・飛蚊(視界のもやもや)10→2
などの改善を自覚されていました。
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この、FSM療法では、
○[症状・状態]→(例:[炎症],[瘢痕])や、
○[組織]→(例:[網膜],[毛細血管])には、
それぞれ
[特有(特定)の周波数]があると考えており、
[どの組織]が[どんな状態]になっているか、
という視点で、対応した周波数を選び、
この[2つ]を[同時]に作用させることで、
効果的な作用を生むようです。
また、マイクロアンペアという、
一般的な電気治療の1/1000程度の
とても微弱な電流を使用するので、
有害事象が発生しにくいことも
利点といえます。
この治療法は、
いろいろな疾患に適応されていますが、
特に、疼痛治療を得意としていて、
「線維筋痛症」という
全身の痛みを引き起こす難治性疾患で
米国を中心に効果が報告されています。
この治療法の牽引者である
キャロリン・マクマキン先生の著書
『The Resonance Effect』:2)が、
寺岡里紗さん監修で
邦訳[レゾナンス・エフェクト]が出版予定です:3)。
1)Microcurrent stimulation in the treatment of dry and wet macular degeneration
Laurie Chaikinら、Clin Ophthalmol. 9: 2345–2353.2015.
2)The Resonance Effect:How Frequency Specific Microcurrent is changing Medicine
Carolyn McMakin著 North Atlantic Books社刊 ISBN-10 : 9781623171100
3)レゾナンス・エフェクト-画期的なFSM(特定周波数微弱電流)療法の世界-
キャロリン・マクマキン著 ナチュラルスピリット社刊・寺岡里紗監修・南明里訳
(※)
・この治療機器は国内未承認の医療機器です。
・医師治療用の個人輸入を行い法律に則し使用しています。
・同一性能をもつ他の国内承認医療機器はありません。
・この機器はこれまで重大な有害事象の報告はありません。
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〔論文1)の詳細〕
この治療を、17人の患者さんを対象に、
・「週1回」・「35分間」
・「2~10回(平均4.8回)」施行
その結果、
○「萎縮型」で
有意な視力の増加(P=0.012)、
視力低下を示した患者さん(26%)と比較し、
2倍のかたで視力が改善(52%)し、
改善はしばしばかなり大きく、
悪化は非常にわずか、という結果。
○「滲出型」では
統計的有意性に達しなかった(P=0.059)が、
6人中5人(83%)で視力が改善し、
低下を示したかたはいませんでした。
(視力検査結果の詳細後述)
結論として、
長期的にも治療効果が持続するかについては、
ランダム化二重盲検対照試験などの
より信頼度の高い検討が必要だが、
「変性を遅らせ、
両タイプの加齢性黄斑変性の改善への可能性を示している」
とされています。
【この治療による視力の変化:治療「前」→治療「後」】
○「萎縮型」:25眼
①0.5→1.0 ②0.4→0.8- ③0.1で不変 ④手動弁で不変 ⑤0.025+→0.031- ⑥0.0625+→0.125+
⑦0.16+→0.317- ⑧0.8-→0.66+ ⑨0.25→0.25- ⑩0.1-→0.25- ⑪1.0→1.0+ ⑫0.5-→0.625+
⑬0.2-→0.285+ ⑭指数弁で不変 ⑮0.4-→0.4 ⑯0.1で不変 ⑰0.33→0.4 ⑱0.2→0.66-
⑲0.08+→0.4- ⑳0.25+→0.33- ㉑0.16-で変化なし ㉒0.33-→0.4- ㉓0.05→0.125 ㉔0.025で不変
㉕0.02→0.02+
○「滲出型」:6眼
①0.125-→0.2 ②0.1→0.25 ③0.33-→0.33+ ④0.28→0.4- ⑤0.02+→0.025 ⑥0.2-→0..25
(小数点以下が細かいのは米国式の分数表示を、日本式の小数点表示に変換したため)