報告 講演会手続きだけなの?「96条」~安倍改憲政権の狙い
講演会 手続きだけなの?「96条」~安倍改憲政権の狙い
6月13日、講演会 手続きだけなの?「96条」~安倍改憲政権の狙いを行いました。
講師は内田雅敏さん(弁護士)
新著『天皇を戴く国家』を出した内田さんの講演は96条に限定しない内容でした。
内田さんは「昨年2012年はサンフランシスコ講和条約発効60年、沖縄返還40年、日中国
交正常化40年。本来これまでを振り返り、これからを考える年だった。
だが、河村名古屋市長、石原都知事、橋下大阪市長らの一連の発言で台無しに
なった。
安倍は憲法前文『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する』を否定している。
政権が変わるたびに村山談話が問題になるが、村山談話は社会党委員長の首相
だったから出たわけではない。それまでの積み重ねがあった。
国連40年中曽根演説は、戦争を反省し憲法前文と同じ平和的生存権の立場から訴
えている。靖国公式参拝した中曽根すら、そう言わざるを得なかったのだ。
村山談話は、日本国憲法から72年日中共同声明、85年中曽根国連演説、93年河野
談話を踏まえたもので、突如出てきたものではない。
自民党改憲草案は現在の前文を削り、災害の死者と戦争の死者を同列に扱っている。
日本社会はなぜ靖国イデオロギーから抜け出せないのか。
靖国神社にとっては、無断合祀による戦死者独占の虚構こそが靖国神社の生命
線。だから、旧植民出身者も勝手に合祀し死者を逃がさない。戦死者独占をやめ
ると靖国の虚構が崩壊する。
A級戦犯を祀っているから参拝していけないのではなく、A級戦犯こそ靖国神社
にふさわしいのだ。
死者への思いが歴史に向き合う目を曇らす。南原繁も大岡昇平も死者をたたえて
しまった。
ここに戦後護憲運動の欠陥がある。
憲法の臍は第13条幸福追求権。日本国憲法の背後にはアジアでの2000万、日本
310万の無念の死がある。死者を尊い犠牲とたたえてはならない。たたえた瞬間
から死者の政治利用が始まる。
韓国憲法前文は日本の植民地支配に対する独立運動の流れを、中国憲法は抗日戦
争をうたっている。
日本国憲法前文は韓国、中国の憲法前文の対応する関係にある。
周辺諸国との環境整備=歴史問題の解決なしに、護憲のたたかいは成し得ない」
講演を受けて質疑応答を行い、参加者からは内田さんの提起への賛同の声や東京大空襲を体験した80代の参加者から戦争体験の証言などが出された。