演奏会を成功させるのに必要な3種の時間(金管バンド) | 河野一之のブログ

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演奏会を成功させるのに必要な

3種の時間(金管バンド)

バンドがあり、曲も集まってくると人にお聞かせしたいということで演奏会を企画します。

 

しかし、ただ演奏会を開いてだけだと成果発表会となってしまい

お客様に存分に金管バンドや我々自身の魅力を楽しんでいただくのが

難しくなってしまいます。

 

そこで今日は演奏会を開き、お越し下さるお客様に存分に楽しんで頂き、さらに我々自身の成果も発揮できるよう3種の時間を使って説明します。

 

  1. コンサートまでの計画(年間計画)
  2. リハーサル計画
  3. 演奏会当日の計画

 

1、コンサートまでの計画(年間計画)

大体のバンドが半年~1.5年前にコンサートホールの予約を行い新しい演奏会シーズンを迎えます。

 

なので災害やアクシデントがない限り演奏会の日程=目標日が設定できます。

 

そこから逆算をして全て行えば最低効率で最高の結果を得ることが理論上はできます。

 

例えば10月に第1週にコンサートを行うとして、最短半年前の4月にホールの予約が確定したとします。

 

そうした場合

 

  • 10月第1週目

演奏会

 

  • 9月中旬

←全曲通しリハーサル

演奏会とほぼ同じ設定で行う。

このリハーサルは上達のためではなく、流れの確認のために行うのでやり直しはほぼ無し。

  • 曲と曲の間も1分ほど取る(司会用)
  • 演出も全て行う
  • ミュートワークの確認
  • 一部と二部の間も休憩を取る
  • 動線の確認
  • etc

演奏会当日に起こり得ることは全て確認しておく

その後の約二週間は微調整に使えます。

 

  • 8月

曲や演出関係の最終決定

 

大まかに書くとこのようになります。

演奏面的に行う規模にもよりますがこのぐらいの余裕をもって行うと奏者もバンド運営的にもバタバタせずに済みます。

 

逆にこれをおろそかにすると

 

・演出への自身の無さからくる不安

・曲ごとの仕上がりのばらつき

・演奏会中の妙な間

 

などが生まれ演奏者自身とお客様の”興”が削がれます。

 

2、リハーサル計画

日本の多くのバンドが

 

  • 週に一回
  • 2~2.5時間

 

のリハーサルを行っています。

単純計算で

 

(月4回×2時間×半年(6ヶ月))+臨時練習5時間=53時間

 

これぐらいの時間しか練習に費やせません。

ですので指揮者や指導者、そして演奏者も

 

・毎週の2時間の中で何ができるようになるか

いつまでに何をできるようにするか

 

この2つを念頭に計画的リハーサルを行うと結果的に時間を有効活用できます。

 

それでなくとも不慮の事故や体調不良、行事などによって毎週リハーサルに全員が集まれるわけではありません。なので欠席をされた人がどのようにその一回を埋めるのかも大切です。

 

 

毎日個人練習が取れなくても日々の些細な工夫をするのとしないのでは大きな違いです。

 

合奏の時は「合奏」を

個人練習時には「個人練習」を

 

それぞれの定められた時間に”しか”できない練習を行いましょう。

 

3、演奏会前日、当日の計画

大体のバンドが前日リハーサル、そして演奏会当日の確認作業「ゲネプロ」に1.5時間から2時間の時間を設けています。まず最初に

 

前日、そして当日のゲネプロで2時間をフルに演奏練習に当てるのは危険です。

 

金管バンドはとてもスタミナが要求されるアンサンブルです。

またソリストともなると尚更です。

 

さらに肉体的な疲労以上に、集中力を維持するための脳的スタミナに一番気をつけなくてはなりません。鍛えれば42.195kmを走る人間の肉体ですが、

脳が疲労を感じた場合総じて身体は言うことを聞かなくなります

 

前述した通り、通し練習は事前に済ませておき演奏会前日と当日は諸々の

 

確認作業

 

に留めておくべきです。

 

恐らく普段の練習部屋よりも大きく広い場所となるはずですので

 

  • 座席に座ったり前に立ったりした際の風景に慣れる
  • 音の響きや聞こえの確認
  • 動線や演出をする際の微調整
  • 司会者との進行の確認
  • 照明やマイクの調整
  • etc
 
これらの当日にしかできない確認をするべきです。
 
 
またアンサンブル的に高難易度の箇所だけ場に慣れるという意味合いで
リハーサルを行うのは効果的です。
 
  • 各曲の出だしと終わり
  • ソリストたちがリラックスして演奏をできるように彼らの要望通りにできる時間
  • テンポの変わり目の確認
  • 演出の始まりと終わり
  • 入退場の仕方、指揮者との連携をしての動きの確認(立つタイミング、客席を向くタイミング)
  • 音を出さずに歌や指、息だけを使いタイミングの確認
 
などいかに身体的、脳的な消耗を減らし本番に臨むかは大変大切になってきます。
 
一番大事なのは
 
ホールの開場から、演奏会後に最後のお客様がホールを出られるまで
 
100%を維持することです。
 
アマチュアのバンドが大半な金管バンドでは演奏会当日、演奏以外にも膨大な量の作業を並行して行いながら自身も演奏する必要があります。
 
そのため演奏だけ、それ以外の準備だけで消耗をしないようにする計画が必要です。
 
まとめ
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演奏会を企画し始めた頃にまず演奏会当日の”感じ”だけでも想像し、大雑把でもどのようにそこに向かっていくかを計画した上で進んでいく、これはどんな分野でも同じです。
 
家を建てるのでも、竣工日を設定しそこにむかって図面通り様々な手はずを整えて作業をしていきます。
 
教育機関の年間予定表もそうです。国の予算管理もそうです。富士登山もそうでした。
 
大きく
 
←年間予定
←各リハーサル予定
←個人での毎リハーサル目標
 
とこの3つをこなしていけば自然と理想の演奏会、さらに言えばお客様のリアクションは未知数なので理想以上の演奏会にもなり得ます
 
英国留学中に教授陣より口を酸っぱくして教わったTime Management 
 
少しでも取り入れてみてはいかがでしょうか?
 
ご一読頂きありがとうございました。
 
 

河野一之