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物の肉で育てた特別製の犬だ。普通の犬よりはるかに獰猛で、魔物の肉しか胃がうけつけない。だから魔物の気配には非常に敏感なのさ。お前達がこの町に来る以前から、こいつらが檻を叩いて俺達に危険を知らせてくれたのさ」カシオ 掛け時計
「そんな! 私達は何もしないわ!」
「わかるもんかよ!」

 アルフィリースの弁解は村人たちの怒声にかき消された。よくよく見れば、村人たちの目は恐怖に濁り、狂気を帯びいてる。既に話しができる状態ではないことくらい、アルフィリースにも一目瞭然だった。一体何が彼らにあったのか。
 そんな疑問も、今は考える余裕がない。

「後ろの奴のローブを取れ! 姿を確認してやる」
「この子は病気なのよ。そんなこと言わないで!」
「知ったことか!」

 病気を示す偽装も、村人達の目には入らない。ハルピュイアは魔物ではないはずだが、果たしてその言い訳が通じるかどうか。いや、たとい怪しい場所がなかったとして、何を言っても彼らには通じないだろう。ある事情により、それほどこの町の村人は他人を信用できなくなっていた。人の良いアルフィリースには、そのような事は想像もできなかったのだ。本来なら何も言わずにこの場を脱出するのが正解であったろう。
 だが不毛なやりとりを続けるうち、村人達の苛立ちはついに限界を超え始めた。

「お前も魔物か!?」
「違う! 私は人間だ!」

 自分で叫んだ言葉に、人間のはずだ、とアルフィリースは思う。どうして自分だけがこのように強い魔力を持っているのかは非常に謎で、自分の両親が魔術を使えたなどという話はとんと聞いたことがない。魔術教会にアルフィリースを売ったのが実の親だと聞かされて、アルフィリースは彼らが本当に自分の両親だろうと疑うことはあったが、調べようもないことだった。超激安
 だが他に両親がいるとして、一体どこの何者なのか、想像することすらできないのも事実。アルドリュースに拾われた当初はそのような事を何度も考え、夜毎悪夢にうなされたり寝れなくなることもあったが、やがてそれらの疑問は考えても仕方のない事として、アルフィリースの胸の奥深くへとしまわれたのだ。
 それが、今自分が発した言葉をきっかけに、不意にアルフィリースの根底を揺らがせる。そして、一瞬囚われた意識は、彼女に隙を作らせた。

「構わん、判断は犬にさせろ!」
「犬を放て!」

 その言葉と共に一斉に犬の口枷が外され、手綱を放たれた10頭以上の犬が猛然と駆けだした。涎を撒き散らし、普通よりもはるかに発達した犬歯を持つ異形の犬共が、目を血走らせながら走って来る。アルフィリースは一瞬恐怖を覚えるが、背中の小さなエメラルドの存在に、はっと意識を引き戻される。
 慌てて剣を構えたアルフィリースは異形の犬に目がけて剣を振り下ろすが、元が誤解にも近い状態で始まった戦いである。アルフィリースの剣筋は普段より鈍かった。そのあたりが彼女の優しさでもあり、甘さでもあるのだろうが、相手が彼女の性向を考慮してくれるわけではない。
 先頭の2匹程度を叩き伏せた所で、他の犬がエメラルドに突進する。だが、エメラルドも黙ってやられるようなか弱い存在ではない。

「ヤアッ!」

 エメラルドはインパルスではない方の腰の剣を抜き放ち様、一頭の犬の喉笛を一閃してかき斬った。その鮮やかな剣技に、おもわず町人からも「おお」と簡単の声が上がる。エメラルドは見た目と違い、決して大人しいだけの性格ではない。またハルピュイア自体もまた大人しい種族ではない。獣人の一種とも考えられる彼らは、むしろ狩猟民族である。普通の獣人と違うのは、彼らが器用に武

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