「(どんどん私は一人ぼっちになって行くのね)」
そうレイファンが思うのも無理はない。omega アンティーク
彼女はラスティに伴われてまだ修繕の完全に終わらぬ廊下を歩くと、王族専用の中庭に出る。そこには飛竜が一頭と、鎧兜に身を包んだ騎士が一人。周囲には近侍の者や近衛が何人かいるだけだ。王女の行動とはいえ、今回は隠密なのである。盛大に出立を見送るわけにもいかない。
「あれが?」
「左様で」
レイファンは騎士をまじまじと観察したが、鎧兜で全身を覆われては何もわからない。ただ、確かに強そうではある。
だがいくら強かろうと、今回の遠征では関係ないことはレイファンにはわかっている。それに、信頼できない者を同行させるのも心配である。レイファンがせめて同行者の顔でも見ようと面体を上げるように命令しようとすると、騎士はその前にするりと飛竜の上に飛び乗った。レイファンは命令する機会を完全に逃したのである。
周囲の者は恭しく彼女に頭を下げるばかりで、レイファンの意図など察しようともしていないのだろう。
「ふう」
レイファンが一つため息をついてラスティを見ると、彼もまた頷くのみだった。やむを得ずレイファンが飛竜に乗ろうとするが、彼女は飛竜になど乗ったことが無い。
2人乗りの飛竜とはいえ、10歳そこそこのレイファンにとって騎乗は一苦労だ。飛竜の背は高い。乗るためには足場としてあぶみが2~4個用意されているのだが、二つ目のあぶみに足をかけ、身を起こそうとして思いのほか苦戦するレイファンに、飛竜上の騎士は無言で手を差し出した。
レイファンが騎士の手に気がつき彼の手を握ると、騎士は軽々とレイファンを片腕で持ち上げたのである。そのまま自分の前にレイファンを抱きかかえるようにレイファンを乗せる騎士。
「きゃあっ?」
「ではよろしく頼む」omega アクアテラ
ラスティが騎士に声をかけると、騎士は無言で手を振ってそれに答えた。そしてレイファンが乱暴な使いに対して抗議の声を上げる前に、騎士は飛竜を発進させたのであった。
飛竜の走る振動に思わず騎士にしがみつくレイファンだったが、騎士もまた両腕でレイファンが落ちないように抱えながら、交差した両手で飛竜を操っていた。これは非常に難しい事なのだが、用意された飛竜が上等なのと何より騎士の腕が良かったので、発進から上空で飛竜が安定するまで、何の問題もなく進んだのだった。
「た、高い」
振動が少なくなったレイファンがうっすらを目を開けると、そこは地上の人間が米粒に見えるほどの高さであった。レイファンはこの光景に目を輝かせるよりも、先に怖い方が勝ってしまう
「お、落ちないでしょうか?」
「んなヘマはしねぇ。それにこいつくらい優秀な竜なら、乗り手が落ちそうになっても空中で捕まえるさ」
「そ、その声は」
その口調に聞き覚えがあるとレイファンが騎士の顔を見ると、騎士は自ら面体を上げた。
「俺だよ」
「ライン!」
レイファンの顔がまず驚愕に、そして喜びではなく、不満げな顔に変わった。そして彼女はラインの胸を叩き始めたのである。
「いてっ、いてて! 何するんだ」
「馬鹿っ、馬鹿ぁ! 何も言わずに姿を消すなんて、あんまりです!! どれだけ私が心配したと」
そしてレイファンが涙目になりかける前に、ラインがすかさず茶々をいれた。
「なんだよ、俺がいなくて寂しかったのか?」
「はい」
そのレイファンの答えがあまりもしおらしかったので、からかったつもりのラインが絶句してしまった。そのままレイファンがラインの胸に顔をうずめて泣き始めたので、さしものライン
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