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に良い手もあります」

 エルザがアルフィリースにこっそりと耳打ちすると、アルフィリースが目を丸くする。
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「エルザって、結構えげつない手を考え付くのね」
「私の上司譲りです。ですが、それが一番かと。アルフィリース、枝葉はガンガン枯らしていきましょう。ミランダ様も同じことを思うはずです」

 エルザの言葉に、アルフィリースは勇気づけられるように頷くのだった。

***

 その後、外に出たアルフィリース達は隊列を整え帰路へとつく方法を確認すると、余分な糧食などを特に身寄りがなさそうな難民に分け与え、最寄りの村や町までの方向を指し示すとその場を去った。もちろん十分とは言えない量であったし、それらを配った対象はアルフィリースの達の完全なる主観によるものだったが、それで救われた命は100を下らなかったという。
 そしてビュンスネルを去り際の出来事である。ぱん、と乾いた音が響いた。だがその音は炎上する街の外での喧騒にかき消され、ほとんどの者の耳に入ることが無かった。その音を一番はっきり聞いたのはルナティカであったかもしれない。

「少年達、どうする?」

 準備を終えて時間のできたルナティカがレイヤー、ゲイル、エルシアの元に近づく。本来ならルナティカは斥候を請け負う事が多いが、今回は労働十分としてアルフィリースが命じて帰路では一切の仕事をしなくても良いこととした。代わりの斥候はターシャ、エメラルドで十分務まるし、地上の斥候が必要な時はドロシーやエアリアルも相当に勘が効く。危険度はもはや低いとしたのだ。
 ルナティカはそれでも仕事がないとなんとなく落ち着かない。彼女は仕事がないと、何をしていいのか判断に困るからだ。命令がないと動けない。彼女はそうなるように育てられたからだ。リサのいいつけで自分の趣味を見つけるようにと言われ、最近では花などをひっそりと育ててはいるものの、遠征先では何もやることがない。
 なので自分が助けることになってしまった少年達の様子を見に来たのだが、どうやら目を覚ましたエルシアがレイヤーの頬をひっぱたいた所だったのだ。隣ではゲイルがおろおろとしている。

「レイヤー! どうしてあんたは勝手にいつも!」
「ごめん」
「エルシア、待てよ。こいつだってしょうがなくさ」omega アクアテラ
「ゲイルは黙ってて!!」
「はい」

 エルシアに頭ごなしに怒鳴られて、ゲイルはしゅんとしてしまった。自分の体重の半分程度の少女に槍込められ、心なしかゲイルは一回り小さく見えた。いや、この場ではエルシアが一番小柄なのだが、一番大きくルナティカには見えていたのだ。それだけ怒っている彼女は迫力がある。
 ルナティカは事情を知らぬが、彼らのやりとりを聞いているとどうやら目を覚ましたエルシアにレイヤーとゲイルが一通りの事情を説明した所らしい。ゲイルもまたオブレスが死んだことに驚きを隠せなかったが、それ以上にエルシアの動揺は激しかった。彼女にしてみれば通い慣れた教会で眠った次の瞬間には周囲の人間はほとんど死んでいて、そして帰る場所ももうないと言われたのだ。
そんな事を言われても当然現実感は湧かないだろうし、それにエルシアはオブレスの事を多少異性として意識していた様子もある。エルシアの動揺や不安は、強気の彼女らしく怒りに変換されてレイヤーにぶつけられたというわけだった。涙をぼろぼろとこぼしながらレイヤーに当たる彼女は痛ましくもある。だがレイヤーは何の抵抗もせず彼女にさせるがままだった。
だが一通りエルシアの怒りが発散され今度は泣き声に変わる頃、ルナティカは彼らに声をかけた。
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