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しないのだ。ドゥームは悩んでいた。インソムニアはどうでもいいが、まさかアルネリアに肩入れするわけにもいかない。だがしかしリサとジェイクをここで始末させたくはない。それに先の展開が読めないうちに自分がここで出張っていくのは芸がない。
 ラファティ達が館に踏み込もうとするその刹那にもまだ決断ができないのは、ドゥームにとっても珍しいことではあったが、結論はドゥームではなく別の存在によってもたらされた。
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「ドゥーム、邪魔をするぞ」
「へ? 誰?」

 ドゥームは驚いた。まだインソムニアの『城』は起動中であり、ここには彼女が許可した存在以外入ることはできない。それを音もなく入ってくることなど、不可能だとドゥームは思っていたのだが。
 ドゥームの後ろに立っていたのは、同じくらいの背格好の少年だった。

「えーと誰だっけ?」
「ユグドラシルだ、ちゃんと覚えておくことだ」

 覚えておくも何も、いつ自己紹介されたかも定かではない。もしかすると何らかの折に触れて自己紹介されたかもしれないが、ドゥームは基本的に男の名前と顔はどうでもよかった。適当に流しながら、『城』の中に音もなく侵入してきたその手段の方が、余程ドゥームには気になるのだった。
 一方ユグドラシルもまたドゥームには興味がない。少なくとも現段階では、ドゥームに関わっても意味がないのだ。さっさと用事を済ませるべく、つけつけとドゥームに言い放った。

「用件だけ手短に言おう。今回の戦い、手を出すな。いかなる結果になろうともだ」
「へえ? なんで勝手に僕に命令しているのさ? キミ、何様のつもり?」
「何様でもない。いや、私は何者ですらない」
「?」

 ユグドラシルの変わった言い回しに一瞬気を引かれたドゥームだが、ユグドラシルはドゥームに質問される暇を与えなかった。
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「これはオーランゼブルの命令だ。とかく暴走しがちなお前だからな、今回の件も決して手を出すなとのお達しだ。ここにはアルフィリースの仲間がいる。彼らに危害が及べば、協定を破ることになるからな。まだグウェンドルフと事を構えたくはないそうだ。機はいまだ熟していない」
「ちょっと待ちなよ。なんでオーランゼブルはここにアルネリアの連中が来ることを知っているのさ。ボクだって最近知ったし、まだ誰にも言ってないのにさ。それに、アルネリアはどうやってここにボクがいることを知ることができるのさ。全滅させたら誰もわかりゃしないって」
「後半の問いにのみ答えてやろう。その場で起きた出来事というのは、周辺の物体にすら記憶される。人を消せばすべての証拠が消えるわけではないのだ。魔術を使えば、誰が何をどうしたかまで探ることが可能となる。さして魔術を使わないお前にはわからんかもしれんがな。
 それにここにお前がいるのは、もう既にアルネリアに気が付かれている」
「誰に、どうやって?」

 ユグドラシルは目線を、アルネリアがあるはずの方角にやった。

「お前は知らんかもしれんがな、この大陸にはグウェンドルフよりも恐るべき相手がいる。その実力もさることながら、能力が厄介だ。『千里眼』といってな。居ながらにしてこの大陸の出来事全てを知ることができる能力だ。お前が何をしようと、相手は知ることができるだろう」
「ちょ、ちょっと待ちなよ。それじゃ何をしてもこっちの同行は筒抜けってこと? それじゃ作戦も何もあったもんじゃない! だいたいそんな相手がいるのなら、今までこちらが上手くいってるのは何なのさ!?」
「千里眼は神のごとき能力だが、視点は一つだけだ。オーランゼブルも彼の者の能力を知っている

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