繋がりで、新しい友達もできた。こんなに楽しいのはいつ振りだろうと、戻ってきた平穏に浮かれていた。
しかしある日、みちるがわたしと同じ小学校だった人たちに呼び出された。気になって後をつけ、こっそり物陰に隠れて耳を澄ませた。
「三田さんさ、あまりラナと仲良くしないほうがいいよ」
「そうそう。あいつのじーちゃん、でっかい会社の会長らしいから、怒らせるといろいろやばいぜ」
「小学校のとき、先生にも特別扱いされててさ。なんかムカつくよな。学校に来なくても怒られなかったし」
「みんな避けてたもんね」
不安だった。みちるが柏原のことを何も知らなかったから、わたしと仲良くしてくれたのであって、今知ったことによってわたしを避けるんじゃないか。わたしはまた独りぼっちになってしまうのではないか。もうあんな生活には戻りたくない。独りは嫌だ。恐怖で身体が震えた。彼女の言葉が聞きたくなくて、思わず耳を塞いだ。
しかし、みちるは当時から達観していた。わたしが思い浮かべていた言葉は出なかった。
「――――言いたいことは、それだけ?」unbrella
静かな言葉に、その場にいた全員が唖然とした。
「それだけって……」
理解できないその様子を一瞥して、鼻で笑った。
「揃いも揃って馬鹿ばかりね。あの子が気に入らないことをわざわざ告げ口するような子だと、本気で思ってんの?」
そう言った彼女はこちらに視線を向けた。
「いるんでしょ? 出てきなよ」
隠れているのがばれていた。恐る恐る出ていくと、その場にいた全員が青ざめた。
「言いたいことがあったら、はっきり言ってやりな」
言ってやりたい、でも……。umbrella reef 日傘
二の足を踏んでいると、ポンと軽く背中を押された。みちるを見れば、大丈夫だという視線で頷いた。わたしはすーっと息を大きく吸い込み、そこにいる同級生を見据えて口を開いた。
「わたしは告げ口なんてしない。それなのに勝手にそうなってて、昨日まで仲良かった友達に次の日になったら急に避けられて、してもいないこと言いふらされて、言いたい放題言われて……。わたしが何したっていうの? すごく嫌だった! じーちゃんに言いつけるなら、とっくに言ってる!」
なお顔を青くしている人たちに、みちるはニッコリ笑った。しかしその笑みはどこか恐ろしいものだった。
「……だってさ。あんたたちが今のうのうと暮らしているのは、この子がじーさんに告げ口してない証拠じゃない。――――なんならさ、試してみようか? 今からこの子のじーさんのところ行って、あんたたちにあることないこと言われていじめられてました、って。……どーなるかなぁ?」
その言葉に真っ青な顔がさらに青くなり、ガタガタ震え出す同級生たち。そして彼女はクスクス笑いながら、とどめを刺した。
「この子がいい子ちゃんで助かったわね。わたしがこの子なら、とっくの昔にあんたたちの親を二度と戻ってこられない僻地に飛ばしてやってるわ。でも、今後まだそんなことするなら……」
「しません! 誓います!」
「俺も!」
「わ、わたしも……」
次々にそう言ってわたしに謝り倒し、尻尾を巻いて逃げて行った。呆然としていると、彼女が寄ってきた。
「ちゃんと言えるじゃない。黙ってるから、状況がどんどん悪くなんのよ」
これまで言えなかったことを言えた興奮とか、いろいろな感情が入り混じって、わたしは顔を歪めてわんわん泣き出した。もう涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃ。
嬉しかった。事実を知ってもみちるは変わらなかった。それどころか怖くて言えなかったことを言えるように、背中を押してくれた。家族以外で、こんなに自分のことを考えてくれる人は初めてだった。
なかなか泣き止まないわたしに呆れながらもギュッと抱きしめて、「よく頑張ったわね」と背中をさすってくれた。
みちるのおかげで、わたしはまた人と関わることが好きになった。また笑えるようになった。友情って、人間って、捨てたものじゃない。umbrella 傘
「そう、そんなことが……。つらかったね」
「はい……」
ここまでの話を聞き、慎也さんは優しい眼差しでわたしを見た。
「三田さんの世話焼きは、今も昔も変わらないんだね」
「え?」
「この間、知らないうちに設楽と知り合っていて