時代小説 | 「灯りと温もり」の雑記帳

「灯りと温もり」の雑記帳

“高齢者” オヤジの雑記へようこそ。ご訪問に感謝致します。
平成29年元日に、ブログタイトルを「アメカジおやじの雑記帳」から「『灯りと温もり』の雑記帳」に変えました。

少し前ですが、映画『たたら侍』の出演者が大麻所持で逮捕され、公開が順次打ち切りになったとの報道がありました。

 

 

テレビならスポンサー様が醜聞を嫌ったり、テレビ局がスポンサー様のご意向を忖度申し上げ奉り、迅速に打ち切りを決定するのだろうけど、映画はそこまで神経質にならなくてもいいのではないか、と想います。

『たたら侍』の観客動員数が伸びていたのか低迷していたのか知らないけど、好調だったら打ち切っただろうか? “順次” ってところに都合や事情がありそうですけど。

 

今はテレビでも映画でも時代劇の制作が減少していると感じるのですが、だからこそ質の高い時代劇だと安定した視聴率や観客動員と云う結果が出せそうに想います。

私は『たたら侍』を観ていないし、観る予定も無かったのですが、時代劇は好きなので関心は寄せていました。 7月公開の『忍びの国』も少し気になります。

 

 

私は映画と同様に、読書でも好きなジャンルのひとつが “時代小説” です。

公開中の映画『武曲』は時代劇ではなく、剣道が題材の現代劇ですが、何時だったか、この映画の原作本を書店で見かけた際に阿呆な勘違いをやらかしました。

 

    

 

「著者が藤沢周平!?」と驚き、藤沢周平さんの作品をそこそこ読んでいるつもりだったのに、『武曲』と云う作品を知らない自分を恥じるような気分に陥りながら、藤沢さんは時代小説作家だけど、“剣” 繋がりで現代劇も書かれていたのか?・・・などと想いを巡らしつつ著者名を能く能く見ると、「“平” が無い!」

『藤沢 周』さんの名前を『藤沢周平』さんと見誤ったのでした。

そもそも私が藤沢 周さんを存じ上げなかった故の勘違いなので、それも恥ずかしいことですけど。

 

藤沢周平さんはペンネームだけど、藤沢 周さんは本名だというから、私のような勘違いは藤沢 周さんには甚だ迷惑だろう・・・とか、名付けた人(お父上?)が藤沢周平さんのファンだったので肖ったのか?、などと今は想いますし、ご本人は作家活動を始めるにあたって、ビッグネームである藤沢周平さんを慮って本名の藤沢 周での著作活動を遠慮する、なんてことは受け入れられなかったのだろうなあ・・・などとも想います。

 

 

名前を見誤ったことで、ひとつ思い出されるのが、秋本 治さんの漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のこと。 『こち亀』は私が学生時代(40年ほど前)に少年ジャンプで連載が始まったのですが、最初に作者名を見て、『喜劇新思想体系』や『がきデカ』を描いている『山上たつひこ』さん・・・だと勘違いしました。

絵のタッチが全然ちがうと感じながら作者名を見直して『山止たつひこ』となっているのに気付き、「こんなペンネーム許されるのか?」と不審に想いました。

 

    

 

後に山上たつひこ さん側の抗議があり、作者名を『秋本 治』に変えたのは、単行本が6巻まで進んでいた頃だったはず。

何年か前に実家で『こち亀』の単行本を引っ張り出し、著者名が『山止たつひこ』になっているのが6巻までで、7巻から秋本 治になっていた、と記憶していますので・・・間違っていたらゴメンなさい。

 

私は『こち亀』を少年ジャンプ誌で読みながら、単行本も買い続けていましたが、40歳前あたりから漫画をほとんど読まなくなったので、自分が『こち亀』の単行本を何巻まで持っているのか覚えていません。

 

因みに前出の写真の『こち亀』単行本は “不適切な表現” とやらに因って封印作品となった『派出所自慢』が収録された第4巻で、無論『山止たつひこ』時代のもの。 10年ほど前にこのブログに『こち亀』のことを書いた際に撮った写真。

 

 

この騒動の時、秋本さんはペンネームに関して、「山上たつひこ先生を尊敬していたから」と云う趣旨の事を述べられていたと記憶します。 評価は人それぞれだけど、秋本さんは敬愛する山上さんを実績で越えた、と言えるのでしょうね。

 

本名である藤沢 周さんのケースと、別の漫画家の名前との錯誤を惹起する “そっくりペンネーム” をつけた秋本 治さんの例を並べるのも変だけど、この騒動が想い出されたので・・・。 

 

 

 

ところで小説を読んでいると、登場人物の佇まいなどが朧げな映像で浮かぶこともあるし、「これが映画化されるとしたら」と、どの役者さんが適役かを考えることもあり、それも楽しい。

 

小説を読みながら映像化を想像するのは、どんなキャスティングも想いのままだけど、現実には原作が300頁超の長編小説を忠実に120〜150分の映像に収めるのは困難だし、更に長い頁数だと絶望的だろうから、話を端折ったり、独自の解釈で話を変更せざるを得なくなるでしょう。

それが巧くできればいいけど、散々な結果になることの方が多いでしょう。 だから私は、映画と原作との出来栄えの比較は出来るだけしないように努めていますが、思い入れの強い作品だと、つい比較してしまうこともある。

 

    

 

前出の藤沢周平さんの作品は短編が主だから、120分前後に映像化する際は原作に無いストーリーを付け足す “逆の苦労” もあるでしょう。 『山桜』などがそうでしたし、“隠し剣シリーズ” や『たそがれ清兵衛』も長編作品ではない。 藤沢さんの作品の中では数少ない長編小説が映像化されたのは『蟬しぐれ』くらいかな? 『蟬しぐれ』は映画化とNHKのドラマ化がありました。

短編が主でも藤沢作品は映像化されたものが幾つもあるし、「良質の原作が無尽蔵に在る」と言ってもいいくらい。  

 

 

私が藤沢周平さん以外でよく読む時代小説が葉室 麟さんの作品。葉室作品はほぼ長編だから、先ほどの「話を端折る」などの “映像化の困難” が該当しますね。

 

 

葉室作品で映画化された『蜩ノ記』は300頁くらいの作品で、まさに映像化が難しいと言えるのですが、原作の世界観を損なうこと無く映像化できたと想いますし、興行的にも成功したのではないでしょうか。 葉室作品には『蜩ノ記』の他にも、巧く映画化やドラマ化されたらいい、と想う作品が多いです。

 

『蜩ノ記』のように、“武家の矜持” に主眼を置いたものが葉室作品には多く、それは男(武士)だけでなく、女人(武士の妻や娘)もそうで、作品に登場する「凛とした女性」も葉室作品の大きな魅力のひとつです。 尤も、これは時代小説のほぼ全般に言えることだけど・・・。

 

葉室作品では武家の精神性だけでなく、多くの作品でミステリー要素が楽しめます。 『オランダ宿の娘』はハヤカワミステリワールドから発行されていますから。

また『川あかり』のように「痛快娯楽時代劇」として映像化できる作品も多いから、もっと映像化されてもいいと想う次第ですが、こればかりは興行収入や視聴率が見込めないと制作に至らないのでしょうね。

 

    

 

他にも葉室作品で映像化したら好い、と想いつくのは『蜩ノ記』とともに “羽根藩シリーズ” になっている3作品『潮鳴り』『春雷』『秋霜』はどれも面白い。 でも『春雷』と『秋霜』は連作だから両作品を続けて映画化するのは厳しそうで、何回かのテレビ時代劇向きかもしれません。 他にも『橘花抄』『散り椿』『秋月記』も好い。

 

    

 

兵庫県出身の高田 郁さんが原作で、NHKでドラマ化されている『みをつくし料理帖』は黒木 華さんが好演していますが、この物語のように女性が主人公のいい作品が葉室さんにも多数あります。

 

『みをつくし・・・』の主人公「澪」と同じ名前の武家の妻が描かれている『紫匂う』や、武家の出を隠して女中奉公する主人公を描いた『螢草』、加藤清正の娘を描いた『山桜記』、女絵師を描いた『千鳥舞う』などはテレビドラマ化に好いと想う。

 

    

 

また『はだれ雪』や『風花帖』、『柚子の花咲く』、『おもかげ橋』なども登場人物が男女ともに魅力があります。

読んだ作品全てを頭の中で整理すれば、映画やドラマに好い作品がこれらの他にも想いつくだろうけど・・・。

 

どの作品にしても、長編小説は映像化が困難なのは解っていますので、葉室作品はこれからも私の頭の中での映像化で楽しみます。

 

 

 

今回も事実誤認や誤字、変換ミスがあればご容赦ください。

 

 

(映像の貼り付けが諄いですが・・・)

 

   

 

 

   

 

   

 

 

 

   

  

 

 

   

  一青 窈さんの歌『栞』も好い。