そこに。随分と遠くにやってきたんだな。なかなか帰れないぼくは時々、ふと、限りなく孤独になってぼくの知っている声が聞きたくなる。でも声をきくと泣きたくなったり帰りたくなってしまうからグッと飲み込んでぼくの力になるはずと信じる。帰りたい。なんて言わないよ。もっともっとぼくは強くなるんだ。そこにいくまではどんな困難も引き受けるよ。 tsubasa
いつも。「いつも、その格好。」口をいーっと横に広げ目玉を上向きにキョロキョロさせながら、近づいてきてぼくの隣に腰かけるとぼくのまねをして両膝を肩幅より少し大きく開き、両膝に両肘をつき膝の前で手のひらを組む。組んだ手のひらに額を近付け視線を靴の先から1.5m前に落とす。ぼくの形が完成すると横目でにやけながらチラッとぼくをみる。「なんだよ。」ぼくが面倒くさそうに言うと「なんだよ。」と、おうむ返ししてクスクスと笑う。いつも。なのかな。いつも。なのかもな。いつも。見られてたんだな。いつも。なんだな。 tsubasa
ぷかぷか。久しぶりに湖でボートに乗り湖面に浮かんでいた。夕暮れに向かう空は果物のような色に染まりかぜもなくぼくのボートがつくる波紋がゆっくりと広がるだけで静かだった。ボートに寝転がり静かに深く息を吸い込むと僕ごと抱きしめられているみたいで泣き出したくなった。 tsubasa
心配事。心配になるととまらない。何をしていても気になって落ち着かない。心配はぼくを弱くしてぼくを試す。ぼくが選んだほうがぼくの道。心配だけれど信じてひとつ ひとつぼくは選ぶ。心配になるほどぼくはぼくの心底に近づき、イヤというほど自分の小ささに気付かされる。 Tsubasa