偶然会った 伊吹の同級生、遙。

遙は私を見て 伊吹に彼女はあり得ないと言い切った。

引っ掛かりを感じてムッとしていると、伊吹が私を庇うように一歩出る。

「 遙、やめろよ。もう行くから 」

伊吹先輩?

もしかして、元彼女?

伊吹が私の手を引き 足早に歩いていると 突然 店の脇に入った。

「 どうしたの?」

「 亜湖ちゃん、俺の腕に手乗せて… ちょっと背伸びしてみて 」

え? なにそれ…

「 なんで?」

そう聞くと、私の腰に右手が回ると同時に、左手が壁をつく。

グッと伊吹との距離が縮まり、私は嫌でも背伸びをした。

「 亜湖ちゃんは俺の彼女だから… 証明したい 」

「 証明って、この体制が?」

「 違うよ、これ… 」

少しの笑みにドキッとした瞬間だった。

薄暗い店の脇道。

私の視界に、顔を近づける伊吹の目が閉じるのが写った。

うそっ!?

キス…… !!

そう思った。

でも、違った。

触れそうで 一瞬かすめたような それすらわからない感覚。

キスじゃない 見せかけのキスを演じただけだった。

離れる伊吹の目が開き見つめると、伊吹は微笑み私を抱きしめた。

なんの意味があって キスしているフリをしたのか…

「 伊吹先輩… 離して 」

「 ん、帰ろうか 」

先輩が、わかんない…