今回は現在の私の年始の作句。

     472句は次の通りである。
      人よりも少し遅れて初詣           (桐山芳夫)
 十数年前までは、熱田神宮に人後に落ちずとばかりいち早く初詣に出かけたものである。だが、あまりの混雑に懲りた私は次第に日をずらし、五日前後に行くようにした。ところが、外出が難しくなった今年は初詣に出かけられるか覚束ない。むろん熱田神宮はもとより近在の神社にも、である。

     473句は次の通りである。
      新年も健やかでこそめでたけれ         (桐山芳夫)
 新年も私にとってはいまいちである。誰しも歳を取り、多かれ少なかれ病状に見舞われる。何よりも健康第一と思ってきたが、病状の身になってみると、本当に本当に若さと健康の有り難さを痛感する。

     474句は次の通りである。
      われ自身走る気になる箱根かな         (桐山芳夫)
 毎年、一月二日と三日に行われる箱根駅伝。長時間にわたる中継なので、さすがに、ちらっ、ちらっとしか見ないけれど、見ている間は、この私自身が走っているかのような気分になる。外出もままならない身でありながら、笑止千万とはこのことである。

     475句は次の通りである。
      お伊勢さん車手放しおかげなし          (桐山芳夫)
 元気なら、しばしば熱田神宮にくわえて伊勢神宮まで初詣に出かけていたものである。ところが、車を手放してしまった今年はとても行けそうにない。あの、懐かしいおかげ横丁を見られないのは残念である。

     476句は次の通りである。
      今年また雪の御岳遙拝す            (桐山芳夫)
 私のマンションの最上階にのぼると雪をかむった岐阜県の御岳が見て取れる。ほぼ真北に位置する御岳は霊峰として人々に崇められる高峰である。ほぼ閉じこもり状態の私でもエレベーターで簡単に最上階に達することが出来る。

                  (2022年1月5日)