第183句は次の通りである。
         県勤務初も終りも花の時季        (桐山芳夫)
  私の社会勤務の始まりは愛知県庁。その後20代に国家公務員(自治省=今の総務省)勤務となり、経済企画庁(今の内閣府)に移り、総務省に復帰。そこから香川県庁に移り、総務省に復帰。そして最後は愛知県庁(公文書館)に復帰。おおむね以上が私の公務員生活。つまり最初愛知県に入り、最後は愛知県で卒業。入庁も卒業も桜の時期だった。

     第184句は次の通りである。
          梅越しに女校生鈴なり列車行く       (桐山芳夫)
  修学旅行の時期だったのか京都に向かう関西線の窓際に女子高校生が鈴なりに見えた。私は名古屋市中川区の八田駅でカメラを梅の木に向け、写真写りのため梅の木の前後を移動していた。その時、ごうっという音がして関西線が通りかかったのである。

     第185句は次の通りである。
         花芽吹き児童夢見る豊國社       (桐山芳夫)
  豊國神社は名古屋市中村区の中村公園内にある豊臣秀吉を祀った神社。秀吉を祭神とする神社は京都市東山区ほか全国にいくつもあるようだが、中村区は秀吉の生誕地。中村公園は私の住むマンションの近在地。桜は幾本もあって、あと2ヶ月ほどで開花の時期を迎える。

     第186句は次の通りである。
         なかなかに病は去らず花季前に       (桐山芳夫)
  前句に記したように桜の開花時期が近づいてきた。その時期になると私が退院してから二年になる。今年はやっと体調がよくなりつつあるようだが、去年の今頃は私の病はなかなか完治せず、へこたれそうになる。正直、桜どころではなかった。

     第187句は次の通りである。
         参道にヒヨドリ静止こちら見て       (桐山芳夫)
  前回、愛知県津島市の津島神社を参拝したことを記した。今回は少々変わった驚きを作句。神社の朱塗りの鳥居をくぐってすぐ左手にヒヨドリがとまっていた。ヒヨドリは傷ついていたのを拾ってしばらく家内で飼ったことがある馴染みの鳥。じっと私の方を見ていた。参詣を済ませて、先述の鳥居の近くに戻ってきたとき、先述のヒヨドリがとまっていて、びっくり。同一のヒヨドリか否か分からないが、私には同一に見えた。

                ( 2021年1月26日)