第163句は次の通りである。
        寒椿入院の日々遠ざかる            (桐山芳夫)
  私が救急車に名古屋第一日赤に運ばれ、入院したのが2018年11月29日。そして翌年の1月25日にあま市民病院に転院。そこを3月1日に退院。以来2年弱。月日のたつのは早いもの。入院の日々が遠い昔の事のように思えてくる。あま市民病院退院の際、寒椿が咲いていた。

     第164句は次の通りである。
        会館の水仙震う琴の音に            (桐山芳夫)
  近在に琴城会館がある。大正琴の保存会館と思われる。その前を通ると会館の足元に水仙が咲いている。実際に大正琴の音を聞いたことはないが、足元の水仙が琴の音に震える気がする。

     第165句は次の通りである。
        菜の花や両手上げ下げ励む日々          (桐山芳夫)
  去年作句した一句。近在の野に菜の花が見られるようになった。杖つきながら散歩出来るようになってきた。何とか元の身体に回復しないかと野原に立ち止まり、朝の体操に励む日々。が、これは一時的。それから一年余、最近やっと杖なしで何とか歩行出来るようになってきた。

     第166句は次の通りである。
        語り合う友なき日々の寒の内        (桐山芳夫)
  高齢になってくると、かって往来した親しい友との行き来もほとんどなくなって来る。加えてまだ万全でない身。あんなに語り合った友と顔を合わせることがない。この寒中に話し相手が欲しいが、今はヘルパーと相棒と雑談する日々。それも、誰とも話し相手のいない身と考えれば「よし」としなければ。

     第167句は次の通りである。
        梅園を老若男女歩みをり        (桐山芳夫)
  最後に岐阜市の梅林公園を訪ねてから三年ほど経つ。そろそろ一回目の梅林を訪ねる時期がやってきた。まだまだ人が集まる時期ではないが、梅の木の芽が出てきつつある時期。今年こそ梅林に行きたい。集まってくる人々の光景が目に浮かぶ。

                ( 2021年1月13日)