第148句は次の通りである。
        賀状読み力を得たるこの友ゆ      (桐山芳夫)
 年賀状を読んで励ましと力をいただいた。「お互いに頑張ろうではないか」という言葉に、「まだまだ病気に負けてなるものか」と心中つぶやいた。なお、「この友ゆ」の「ゆ」は「~から」という意味である。

     第149句は次の通りである。
       飾り立てささやかなりし鏡餅       (桐山芳夫)
 自分自ら買い出しにいけないので、相棒に頼んで、飾りの付いた小さな鏡餅を買ってきてもらった。それをテレビの前に、ささやかながら飾りつけてみた。こんなささやかな餅でもそれなりに正月気分を味わうことが出来た。

     第150句は次の通りである。
       あらた年月こうこうと照らしをり       (桐山芳夫)
 新しい年が明けた。真夜中だが、ベランダを見ると、月がこうこうと照らしている。私のベランダはもとより、しんしんとした暗闇に月が道を照らし、屋根を照らし、マンションを照らしている。

     第151句は次の通りである。
     遙拝す雪の御嶽さわやかに           (桐山芳夫)
 私のマンションの最上階に上ると、北側の名古屋の町が見渡せる。そのほぼ北方に御岳山が輝いている。この一句は今年ではなく、3,4年前の雪をかぶった御嶽山である。今年もきっと輝いているに相違ない。

     第152句は次の通りである。
       芽がそろりそろりと出たる梅の花       (桐山芳夫)
 梅の咲く時期になると、私は岐阜市の梅林公園に出かけた。1月ではちと早いかと思うが、2月には出かけていたと思う。色々な梅の花が見られる。紅梅、白梅、何種類もの梅が梅林公園にはあって、芽が出始めの頃から花が咲きそろうまで3度も4度も出かけたものだ。実に見応えがある。

                ( 2021年1月5日)