20年前くらいになるだろうか?


娘のお友達のママにお家を建てたので、来ない?

と言われた。


彼女は某有名企業の社長令嬢なので、結婚する前からお嬢様である。


屈託がないし、何事にも鷹揚で明るく、楽しい女性だ。


ご主人も会社経営だから、今ももちろんセレブだ。


会うたびに違う外車に乗り、ピラティスに精を出している。


私達は地元のセレブ小学校で娘を通して知り合い、意気投合して友人になった。


お金持ちのお嬢様には2つのパターンがある。


①蝶よ花よ、と育てられ、何事も良きに計らえ、と言う天然なお嬢様タイプ


②お金持ちの両親からの商才を受け継ぎ、自分で会社を立ち上げる女性起業家タイプ


彼女は①タイプの人だった。


招待を受けた私は、彼女のお家に出かけることにした。


もちろん、新築祝いを用意した。


何にするか、迷った挙句、かなり豪華なプリザーブドフラワーをチョイスした。


私はプリザーブドフラワーのインストラクター資格を持っているのだが、その頃は肩こりがひどく、花を触ることから遠ざかっていた時期だったので、私の師匠のお店の作品を選んだ。




彼女の新築の家はもちろん豪華なものだった。

広い庭、何台もクルマが入る地下ガレージ、建物は白を基調にした、豪邸だった。


彼女は私の新築祝いを「わぁ、綺麗😍」と喜んでくれた。


私は日本人独特の謙遜した言い回しで「でしょ?良かったらお化粧室にでも飾って。」と彼女に言った。


すると彼女は信じられない行動に出た。


本当におトイレに持って行ったのだ!!

「すごくトイレが華やかになった〜、ありがとう〜!」とトイレから声が聞こえて来た。


私は愕然とした。

まさか本当にトイレに飾るとは!!


私の頭にはそんなストーリーはなかった。


「こんな綺麗な立派なお花をトイレにだなんて〜、勿体無いじゃない。

リビングに飾らせてもらうわね!」

と言うストーリーしか、考えてなかったのだ。


私も多少へりくだりすぎたので、悪かったかも、とは思う。

自分が口に出したんだから、しょうがないんじゃない?と言われるかも知れない。

でもここは謙遜の国、日本なのだ。笑

私は彼女の天然さに本当に驚いた。


何万円したから、と言う話ではない。


彼女は超セレブだ。

だが、何万円もするお花を、大した物じゃない、と思うような、イヤな女では決してないのだ。


私は彼女を良く知っているから、そうではないことは分かる。


ただ天然なのだ。

深く物心を考えずに、言われた通りに動いただけなのだ。


日本人的にはちょっと失礼に思える彼女だが、彼女には全く悪気はない。


桁違いのセレブは行動も桁違いだった。笑


ちなみにそんな事はあったが、彼女と私は今でも友人だ、笑

イヤミのない彼女はどうにも憎めない貴重な存在である。笑