私には霊感が全くない。
反して妹は霊感体質だ。
昔からいわゆる幽霊が見える。
私の母も霊感が強かったし、母の祖母などはユタ、と呼ばれる人だった。
どうやら、能力は妹に引き継がれたらしい。
妹は、人が死ぬ前は、お線香の匂いが鼻先をかすめる、といつも言っている。
妹が母と、田舎での法事に出た際、窓際にご先祖、と思しき着物を着た女性、が見えたらしい。
母に耳打ちしたところ、母にも同じ霊が見えたらしい。
親子で本当に霊感が強い。
また、妹がお寺の立ち並ぶ道を歩いていると、門前に工事関係者、のような格好をした男性が立っているのを見つけた。
妹は、そちらの方に歩いて行くのだが、その男性は身じろぎ一つしない。
ずっと前を向いて立っている。
近くに行くにつれ、妹は何かがおかしい、と感じたらしい。
服装が工事の人とはちょっと違うのだ。
足元を見ると昔の兵隊さんがつけていたゲートルを巻いている。
あまりにも怖くて男性の前を通り過ぎて振り返ると、その男性は忽然と消えていた。
妹は走って家に帰り、母親にその話をした。
「あそこのお寺はね、兵隊さんが祀られてるんだよ。」
と聞いて、あれは亡くなった兵隊さんだった、と妹は気づいた。
「あのお寺には石柱があって、そのてっぺんは三角形にとがってるでしょ、あれは兵隊さんを祀ったものなんだよ。」
と聞いて、姉妹で物凄く怖かったのを覚えている。
妹の幽霊話には事欠かない。
娘が小さい頃は、いつも叔母である妹に「怖い話をして〜。」とせがんでいた。
テレビの心霊番組より怖いし、臨場感たっぷりだ。
その霊感は妹の娘、私の姪に引き継がれている。
トイレに夜中、姪が入ると、女の人がいて目が合うとスッと消えたらしい。
想像するだけで震え上がる状況だが、姪は妹に「トイレに幽霊がいたよ。」と伝えに行き、そのまま自室に戻り爆睡したらしい。笑
「良く眠れたね!」☝️😱😱😱😱
私が言うと、「悪い幽霊じゃなかったよ。たぶん通りすがりだと思う。」と平然としていた。
決してこの家に住み着いてる訳じゃないから、大丈夫、と言うのだ、笑
全然大丈夫ではない、笑
その日から、私は、妹の家のトイレに入るたび、誰とも目が合わないようにうつむきながら用を済まし、早々に退出するようになった、笑
霊感がなくて本当に良かった、とつくづく思う。