じいちゃんはとても優しかった





家に遊びに行った時は笑顔で迎えてくれて帰りはいつもお菓子やジュースをくれた





鉄砲のおもちゃが欲しいと言うとじいちゃんが買ってやろうと言ってくれた





用事があってじいちゃんがお金を持って来ることになった





俺が家まで取りに行くと言ったけど、危ないからと言って家まで持って来てくれた





俺が野球がしたいと言うとおもちゃのグローブを買ってくれた





友達にそのグローブはおもちゃだと馬鹿にされた





悔しくてたまらなかった





でもそのグローブは俺の宝物だった





一緒に遊んでくれるし優しいし、俺の自慢のじいちゃんだった





俺が中学に入るとじいちゃんが入退院を繰り返すようになった





部活で忙しかった俺はお見舞いに行くことができなかった





そんなある日





じいちゃんがまた入院したことを聞いた





すぐ退院するだろうとそんなに深く考えなかった





俺が高校に入って間もない頃じいちゃんがもうすぐ退院することになった





病気にも負けない強くて元気なじいちゃん





やっぱり俺のじいちゃんはすごいと思っていた











でも、じいちゃんはいつになっても退院しなかった





ある日、お母さんからじいちゃんのお見舞いに行くから絶対来なさいと言われた





いつもは行かんと言うとそのままお見舞いに行くお母さん





でもその日はいつもと様子が違った











嫌な予感がした





病院に行くと親戚の人も来ていた





じいちゃんを見てみるとそこには強くて元気なじいちゃんの姿はなかった





寝たきりで息をするのも苦しそうだった





じいちゃんと握手をするとその手は温かく強く握ると握り返してくれた





その日の夜はなかなか寝付けなかった





やっと眠りについた頃、病院から呼び出された





病院に行ってみると両親や親戚の人が泣いていた





じいちゃんは亡くなっていた





全く状況が理解できなかった





じいちゃんは寝とるだけ、亡くなってなんかない





俺は泣けなかった





やっと亡くなたことを受け入れられるようになって、お見舞いに行かなかったことを後悔した





じいちゃんが亡くなってから俺は大事な大会の日の朝には必ず仏壇に手を合わせるようになった





今日も頑張るけん見守っとって





そう言って遺影を見るとじいちゃんは笑っているように見えた





まるで頑張って来いと言っているようだった





その日の試合は勝つことができた





じいちゃんが勝たせてくれたのかもしれない





じいちゃんありがとう





お見舞いに行かなくてごめん





これからも空から見守っとってばい





よし、今日もお墓参りに行こう








全力


ケースケ