国内の原発で初めて、東電、核防護最悪レベルの「赤判定」

 

柏崎刈羽原発で16か所の核物質防護のための設備が30日以上機能していなかったことが分かり、原子力規制委員会は「テロリストの侵入など重大な事態になりうるおそれがあった」として、核防護に関して国内初最悪レベルの「赤」の判定を下しました。

 

「核防護」ができていないことを知らずに

原発の近くで暮らしてきた

 

2020年3月以降不正な侵入を検知できないおそれがある状態が30日以上続いていたとのことで、30日以上が30日なのか、3カ月なのか、1年なのかは分かりません。

いずれにせよ、私たちは、核防護に欠陥がある原発のそばで「30日以上」何も知らずに暮らしていたということです。

東電の発表によれば、「他の侵入検知設備の故障状況を(規制庁に)問われ、12 箇所の故障があり、代替措置を講じていることを説明。(後に2カ所追加)」、破損していた16カ所で、うち10カ所の代替措置が不十分だったとのことです。

つまり、2020年3月以前からの破損も含まれている可能性が高いのです。

代替措置が不十分だった期間は1年どころか、3年かもしれませんし、30年かもしれません。

 

規制庁の検査も不十分だった

 

東電は規制庁に対して報告はしていました。ただし報告先は地元の規制事務所ではなく、東京の本庁。

IDカード不正使用問題同様に「核防護」に関することだからです。

原子力規制庁は「核防護」という隠れ蓑を使って、この問題をあいまいにしてきました。

その結果東電の「誰が見ても十分とは言えない代替措置」を見逃してきたのです。

今回の問題は、東京電力には核を扱う能力も資格もないことを露呈しただけではなく、原子力規制庁にも規制する意思も能力もなかったことを示しています。

 

東電は柏崎刈羽原発の管理から手を引くべきだ

 

福島の事故以前の津波対策や事故後の汚染水対策など枚挙にいとまがありませんが、福島の事故は、この東電という企業と国の不作為で起こるべくして起きたということを改めて実感します。

東電は原発による発電事業から手を引くべきです。

「定められている以上の規制はできない(したくない?)」という不作為がまかり通る日本。

事故を起こせばその影響は甚大で、国を超えた責任を問われる原発。

不作為の国、日本は核で発電するなどということができる国ではないのです。