広がる補聴器助成 北海道根室市 | 子どもたちもお年よりも笑顔あふれる街へ

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シリーズ 広がる補聴器助成 北海道根室市 修理費 年に1回1万円を給付

医師の診断で両耳上限10万円

2022年5月23日【くらし】

 日本の市で最も東に位置し、「朝日にいちばん近い街」とされる北海道根室市(人口約2万4000人)。医師が必要と診断すれば、片耳上限5万円、両耳で同10万円を給付する補聴器助成が、4月から始まりました。年に1度の修理費として、1万円の助成もセットになっています。(徳永慎二)

 「スタートしたばかりで、申請は5件です。いずれも両耳で、広報で知ったという人などです。これから増えてくるのではないかと思います」と担当する社会福祉課の鈴木大介さんはいいます。

 この補聴器助成は、根室市生活支援特別給付事業実施要綱にもとづいています。同要綱は、補聴器だけでなく、たん吸引器や車いすなど六つの「日常生活用具」の購入が対象。いずれも医師の意見書が必要です。意見書文書料としても3000円が市から給付されます。

年齢制限はなく、市民税課税世帯は、購入費用の2分の1、非課税世帯は3分の2が給付されます。「必要だけど、国の制度や介護保険の対象から外れた方が救済されるようになったのは、よかった。利用者や各方面の意見を聞きながら、より使いやすい制度にしていきたい」と鈴木さんはいいます。

生活の質確保 支援策を明言

 制度スタートを後押ししたのが、日本共産党根室市議団(鈴木一彦団長)を代表して、昨年10月に橋本竜一市議がおこなった本会議質問です。「加齢性難聴などによる聴力低下への早期対応は、社会参加の意欲を高め、介護予防、とりわけ認知症の進行を遅らせる効果が期待される」として、早期の補聴器購入助成制度の導入を求めました。

 石垣雅敏市長は「聴覚障害という特定分野のみならず、生活の質を確保する支援策を総合的、体系的に検討したい」と答弁しました。

 橋本市議は「ご答弁にすごく驚いたんですが、補聴器に限らず生活に必要な用具の全般的、体系的な検討をぜひよろしく」とのべました。

 年が明けて今年1月12日には、根室市社会保障推進協議会が前年からとりくんできた「補聴器購入に係る負担軽減を求める」署名1567人分を提出。市独自の補聴器助成制度の実施を求めました。

市社会福祉課の井平雄司課長は「これまで介護関係者からのお話もあり、準備は進めてきました。やるなら何年もかけるより早い方がいいと、当初予算に盛り込むことになりました」と話します。

 こうして、橋本市議の質問から6カ月、署名簿提出から3カ月という早期の導入が実現しました。

幅広い協力で署名がすすむ

 「いくら署名を集めても実現しないことが多いのですが、今回は行政が聞く耳をもってくれた」と話すのは、署名をよびかけた手繰(てぐり)満さん(73)です。市の老人クラブ連合会や市社会福祉協議会、介護事業所などの幅広い協力がありました。「老人クラブの役員の方も、『署名簿を会員のところに回すわ』といって広げてくれた」と手繰さん。

 根室は漁業の盛んなところ。「長年、船に乗って機関室の騒音で耳が聞こえにくくなった、という同級生もいる。署名の取り組みのなかで、補聴器が高いので着けていない難聴者は少なくないと実感した」ともいいます。

 橋本市議は「署名よびかけに協力してくれた老人クラブや社会福祉協議会、介護事業所の方々には大変感謝しています。制度は始まったばかりで、いまは、補聴器を含めて大いにこの制度を利用していただけるよう力をつくしたい。制度利用を通して出てくる住民などの意見をよく聞いて、改善に生かしたい」と話しています。