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涼子のおいしい旅 山口・下関
明治以来の絶品トラフグ
2022年1月1日【行楽】
あけましておめでとうございます。今年初めてのおいしい旅、干支(えと)の寅(とら)年にちなんで「トラフグ」としゃれてみました。
訪れたのはフグ料理の本場、山口県下関市。大皿に美しく並べられたトラフグの刺し身を、いただきます!
「ポン酢はダイダイ果汁入りです」と料理店のご主人。さわやかな酸味がフグのうま味を引き立て、絶品です。ダイダイは「代々子孫繁栄」で正月飾りに使われる縁起物。また地元では福にかけてフグを「フク」と呼ぶとか。新春らしいごちそうですね。
トラフグは高価なので、地元の方も食べるのは「お祝いの時ぐらい」だそう。普段はショウサイフグなど、手頃でおいしい種類のフグを揚げ物やみそ汁でいただくことも多いそうです。
そもそもなぜフグと言えば下関なのか。時は明治維新後にさかのぼります。毒のあるフグは、古くから食を禁じられ、民間でひそかに食べられていました。たまたま初代総理大臣・伊藤博文(1841~1909年)が、下関でおいしいフグを味わったのをきっかけに、山口県は全国に先駆けてフグ料理が解禁されたのでした。
以来、フグ食文化がこの地に花開き、現在も国内外の多くのフグが、下関の市場で取引されています。
フグに限らず、三方を海に囲まれた下関は海の幸に事欠きません。アンコウは水揚げ日本一、古くから捕鯨基地があったので鯨食文化も根付いています。
ところで下関市内には、ほかにも明治幕末の歴史にちなむグルメがあります。
瓦そばは、西郷隆盛(1828~77年)を中心とする士族が明治政府に反乱した西南の役(1877年)で、薩摩兵が野草や肉を屋根瓦で焼いた逸話から生まれた、川棚温泉の名物料理です。熱々の瓦の上に色あざやかな具がドーンと山盛りのそばにびっくり。もちろん美味!
もう一つは晋作もち。尊皇攘夷志士・高杉晋作(1839~67年)の墓所、吉田地区の東行(とうぎょう)庵の門前で見つけました。「晋作さんが好きだった梅の花にちなんで、梅干しに使うシソの葉で包みました」とお店のご主人。焼きたての香り豊かなおやつです。
あらあら食べてばかり、では散歩に出発。
吉田より南の長府地域は、長府藩の城下町。武家屋敷の土塀が続く街並みが残ります。
一方、下関中心部の唐戸(からと)には、開国当時の旧下関英国領事館などの洋館が点在。海辺の唐戸市場では、一般客も海産物の買い物や食事ができます。
見どころもおいしいものも盛りだくさん。また行きたくなります。皆さんがおいしい幸せを味わえる一年でありますように!
南田涼子
写真・南田乗太
下関のおみやげ
・フグ-刺し身のほか一夜干しなど加工品も
・瓶詰めうに-アルコール漬けは下関発祥
いずれも唐戸市場や土産物店で販売
【問い合わせ】 下関市観光政策課 電話083(231)1350
【交通】JR下関駅で下車。唐戸へは下関駅からバスで約7分、「唐戸」下車