入院重症限定の政府方針 | 子どもたちもお年よりも笑顔あふれる街へ

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入院重症限定の政府方針

「医療崩壊」認めたに等しい

2021年8月4日【2面】

 政府が、新型コロナウイルスの患者が急増している地域での対応策として、入院対象者を重症患者や特に重症化リスクの高い患者に限定し、それ以外は自宅療養を基本とする方針を打ち出したことが、「医療崩壊の追認だ」「在宅死を増やしかねない」と大きな批判や懸念をよんでいます。

 新型コロナの患者について、政府はこれまで、重症化リスクの高い人を中心に幅広く入院で対応するとともに、無症状・軽症患者は原則として宿泊療養施設で療養・健康管理を行うとの考え方をとってきました。ところが、今回の方針では、肺炎などの症状に苦しむ中等症患者でも重症化リスクが低いとみなされた人は自宅療養とされます。

中等症置き去り

 国内の新規感染者は1万人超えが連日のように続き、現実に入院ができない人や宿泊施設に入ることができない人が増え、自宅療養者も増え続けています。この中で、首相が2日、関係閣僚会議で「重症患者や重症化リスクの特に高い方以外の方は自宅での療養を基本とする」と述べたことは、首相自身が「医療崩壊」を認めたに等しい発言であり、大きな危険を伴う政策転換でもあります。

 そもそも入院となる重症化リスクの基準は明示されておらず、医療現場からは誰が重症化リスクの高い患者かの見極めは難しいとの声が上がっています。

 軽症の若い世代でも療養中に容体が急変し、亡くなったケースも少なくありません。呼吸困難などで苦しむ中等症患者が入院できずに自宅に置き去りになれば、在宅死が相次ぐ恐れがあります。

首相に説明責任

 首相は、自宅療養者の症状が悪くなれば「すぐに入院できる体制を整備する」として、パルスオキシメーターを配布するとともに地域の診療所が往診やオンライン診療などによって丁寧に状況を把握できるようにするとも述べました。

 地域の体制強化は必要ですが、本人任せ、現場任せではなく、政府がどんな責任を果たすのかを具体的に明らかにする必要があります。感染爆発の下で増えた自宅療養者の健康観察や支援を強化することと、中等症患者を入院対象から外すことは別の問題です。

 首相には、今回の方針と、こうした事態を招いた原因と責任をどう認識しているのか、自宅療養者の訪問診療や健康観察をどう行うのか、感染者を減らす抜本的対策などについて国会で説明する責任があります。(藤原直)