マイナンバーとワクチン担当相のひもづけ発言
自治体情報政策研究所 黒田充代表に聞く
2021年1月21日【社会】
デジタル庁の弊害予感
平井氏の発言をみると、マイナンバーとひもづけて管理するシステム構築が2月下旬から開始といわれているワクチン接種までに「間に合う」とは一切、いっていません。「これから考える」といっており、ワクチン接種を先延ばしにしてでもやるということなのでしょうか。
ワクチンの接種記録とマイナンバーをひもづける話は以前から出ていました。
厚生労働省は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の議論をうけて、昨年10月に、自治体むけに「実施要領」を出しています。そこでは、「接種記録の管理については、マイナンバーによる情報連携を接種開始と同時に開始することを想定しているものではない」とのべています。
厚労省は、自分たちの仕事として審議会できちっと議論をして、昨年10月の段階でマイナンバーの利用は難しいという結論を得ていたのです。自治体は、この要領を基に急ピッチで準備をすすめています。
ここ数日になって、厚労相でない人がワクチン担当相となりました。さらにデジタル改革担当相が横やりをいれるとなっては、むちゃくちゃです。
こういったことは、政府が発足を狙うデジタル庁が引き起こす弊害を予感させます。デジタル庁は、各省庁に勧告ができますから、今回の件が発足後に起きていたら、平井氏は厚労省に勧告をしたかもしれません。
しかもデジタル庁の最高責任者は総理大臣で、決定的な力を持ちます。現場の実情を踏まえて、各省庁が積み上げた議論が、ご破算にされてしまう。その懸念がワクチン問題で現実になったといえます。