一日も早くホームドア整備を | 子どもたちもお年よりも笑顔あふれる街へ

子どもたちもお年よりも笑顔あふれる街へ

日々、感じたことを投稿します(個人ブログです)



障害者“線路転落ゼロこそ”

国交省最終とりまとめに上がる声

2020年12月1日【社会】

ホームドア増設も不十分 人員置き「無人駅」やめて

 バリアフリー法などのあり方を検討する国土交通省の会合は、同法に基づく2021年度から5年間の新たな整備目標の見直しに向け、「最終とりまとめ」を公表しました。障害者団体からは、「移動の自由を保障し、命を守る対策を」との声が上がっています。(岩井亜紀)

 同省の検討会は20日、交通機関や建築物などのバリアフリー化を地方含め推進するとした「最終とりまとめ」を公表。これに沿って、来年度からのバリアフリー整備目標を設定します。

 とりまとめは、「きめ細やかな利用者ニーズの実現がますます求められ」「高齢者、障害者等が、いつでもどこでも、安全・安心かつ円滑に移動し、施設を利用することができるような社会の実現が求められている」と述べています。

5年で3000ホーム

 全国の9465鉄道駅、1万9951ホームのうちホームドアが設置されているのは、858駅、1953ホームにとどまります(19年度末現在)。とりまとめは、5年間で3000ホームに設置するとしました。

 1日あたりの平均利用者数10万人以上の駅のホームからの転落事故件数は、全件数の半数近くを占めています。利用者数10万人以上の全285駅、1275ホームのうち、ホームドア整備済みが154駅、447ホーム。それを800ホームと1・8倍に拡充するとしています。

 「ホームドアの設置を増やすとしたことは、私たちの運動の反映でしょう」。全日本視覚障害者協議会の山城完治代表理事は、そう強調します。「とはいえ、利用者10万人以上の駅ホームでも475ホームは5年後も未設置でよしとする内容であり、不十分です」

稼働直前に事故

 29日午後、東京メトロ東西線東陽町駅(東京都江東区)で、視覚障害のある男性が線路に転落、電車にはねられ死亡しました。ホームドアは設置されていたものの、稼働前で開いていました。

 同省によると、10~20年度に発生した視覚障害者の転落、接触事故件数は22件。うち18件で死亡しています。

 山城さんは「ホームドア未整備の駅ホームでは、適切な人員配置など転落事故を防ぐ対策が必要です。私たちが求めているのは、あくまでも転落事故ゼロです。安心・安全に移動できなければいけません」と訴えます。

 1日あたりの平均利用者数が3000人以上の鉄道駅の約97%で、段差の解消などのバリアフリー化がすすんでいます。とりまとめは、5年間で利用者数2000人以上の駅すべてをバリアフリー化するとしました。

 一方でとりまとめは、駅員がいない「無人駅」の問題にはふれていません。

 JR九州は17年末、大分市近郊8駅の無人化計画を発表し、そのうち3駅で無人化。乗降に手助けが必要な車いす使用者3人が移動の自由を侵害されたとして、同社を相手取り9月、大分地裁に提訴しました。

 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)の市橋博副会長は「無人化で駅の利用に事前予約をしなければなりません。とりまとめが指摘する『きめ細やかな利用者ニーズの実現』から逆行します」と指摘。「無人化では安全が守れません。バリアフリー化したからと無人化するのは、大きな問題です」と批判します。