検査対象の拡大を 専門家分科会政府に提言 | 子どもたちもお年よりも笑顔あふれる街へ

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専門家分科会 検査対象の拡大を

政府に提言 感染出た施設や高リスク者

2020年7月18日【社会】

 政府が設置した新型コロナウイルス感染症対策の分科会が、PCR検査体制の拡充などを求める提言を出しました。地域、集団、組織などで感染拡大の疑いが高い場合や、医療・福祉施設で感染者が1人でも出た場合は、所属する人たちに検査を実施する―というものです。東京を震源に全国へ感染の広がりが危惧されるなか、検査体制の充実は焦眉の課題です。

 提言は16日夜、東京都内で開かれた分科会でまとめられました。会議後に会見した尾身茂会長は、現状について感染爆発という状況になっていないものの、増加傾向であり、急に増えることもあると指摘。「このまま放置すると市中へのまん延や地方へ感染が広がる恐れがある」と強調しました。

 提言では検査対象を(1)有症状者(2)無症状のうち感染リスク評価と検査前確率(検査前に考えられる陽性率)が高い場合(3)無症状のうち感染リスク評価と検査前確率が低い場合の三つに分類。それぞれに対応する方針を示しました。

入院時や手術前

 3、4月の流行では有症状者も検査を受けられず問題になりました。提言では、医師が必要と判断すれば速やかに相談、受診、検査を受けられる体制が「だんだん改善されつつある」としつつ、早急に体制を確立するよう求めています。

 検査対象の拡大も提言は要請しています。尾身氏は、無症状でも、クラスター(感染者集団)が発生しやすいと判断される地域、集団、組織などに所属する人を検査対象にすると説明。医療機関や高齢者施設に対しては「重症化しやすい人が多い。クラスターが発生すれば影響が大きくなるため、感染が1例でも出た場合には、必ずしも検査前確率が高くなくても検査を行う」としました。

 院内感染を防ぐため要望が高かった入院時や手術前の検査についても言及。尾身氏は「医師が必要と認めればハイリスクではない患者にも実施する」と述べています。

被災地の支援も

 九州を襲った豪雨災害では、他県から支援に入った人が感染していました。尾身氏は被災地では支援活動が円滑に行われるようにする上で、検査が必要なケースもあるとして、別枠で検討すると強調しました。

 無症状のうち検査で陽性になる確率が低いと思われる場合について、尾身氏は安心感を与えるなどのメリットがあるものの、膨大な検査をしても陽性はわずかで感染拡大防止効果が低いことを含めデメリットがあるなどと説明。感染症法に基づく行政検査としては実施しないものの、民間企業や個人が海外渡航、スポーツ観戦などの興行を行う場合のために、各自の費用負担で検査をすることはあり得ると語りました。企業が労働者に検査をする場合は「同意を伴う自由意志」で実施するよう求めています。

分科会が提言で無症状でも検査を実施するとした人

○感染者に濃厚接触した人

○地域や集団、組織などで感染の広がりが疑われ、クラスターが発生しやすいと判断される場合、その地域などに属する人

○感染が1例でも出た医療機関や高齢者施設などの患者や入所者、職員

○病院に入院したり、手術を受けたりする患者などで、医師が検査を必要と認める人

○海外への渡航者などで、帰国した際の検疫において検査が必要とされる人

○被災地へ支援活動に行く人など(必要なケースもあり、別枠で検討)